※夢絵にて注意(あはん系)
己が解き放した心、彼女が受け入れてくれた心。
心と心は甘やかに行ったり来たりを繰り返し、遂に満月は水平線へと溶け消え行った。
暗い海のその端にはそろそろ赤みが掛かる頃だ。男は今だに残る、己の体を包む女のかおりに酔いしれる。一番強く芳しくかおるのは唯一人、その小さくも己を包み込むあたたかさを持つなまえ。
「よく、寝てるな…、」
なんとまあ、いけしゃあしゃあと。
毛布から出てしまった薄い肩には赤が散り、少し冷え始めていた。男は大した力も入れずに引き寄せて、穏やかな眼差しをおくっていた。
「なまえ、すきだ。」
解き放った心はなまえが丸くして、そして己に差し出し返すのだ。