事の発端はこのサニー号の日常茶飯事、一流コックの荒ぶるサーフである。軸足でスピンを目一杯かけての『恋のハリケーン』は本日もすこぶる絶好調であった。この男、女性はすべからく称賛すべしが信条なのだ。
『なまえちゅうわ〜んっ!おやつだよー!』
何時もの風景である。このサニー号では。
しかしながら気に食わないのはこの男。例えるならば、潮水はしょっぱい。それ程までに誰もがわかる当然を周囲が予想した通り実行したのである。
なまえが関わると、このトラファルガー・ロー実に子供っぽくなる。
有り体に言おう。
「おれの女に色目を使うとはな、黒足屋、」
「アァン…?」
ヤキモチを焼いたのだ。
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「触るな話すな、寄るな、見るな、声を聞くな。なまえはおれのものだ。」
「ろ、ロー…落ち着こう?…ね?」
「愛想尽かれろ束縛ヤロー」
後ろ手になまえを仕舞い込んで一呼吸で言い切った男になまえは困った困ったと眉を下げ、そして傍で見守っていたサニー号の船医は一言真理を述べたのだった。
「あれはナイ。」