Gift | ナノ

散歩する外科医とお嬢さん
※夢絵にて注意









   時節は春。卯の花曇の空は晴れもよし、雨もよし。曇りもまた、風情があり尚よし。今は遠くに霞みを湛えた空模様であった。
   男は最愛を共連れて、島で一番『栄えている』筈の、長閑な風景をのたりのたり。そぞろ歩きを楽しんでいる。

「卯の花くたしも、似合いだろう。…か。」

   いやはや。この男からすれば空木の空など二の次で、愛おしいおんなを飾りたてるのもの程度、…ぐらいにしか思ってはいなかった。

「どうしたの?」

  黙黙と温かさを男に向けていたなまえは、どうやら先程までの男の言葉は耳に届かなかった様だ。音のみ聞き及んでもう一度言って欲しいの、と小首を傾げる。

「…なまえがいるなら、天気なんてどれでもいい。と言ったんだ。」

   卯の花は空木。花は白。
   さてはて、急に表れた赤い花は…どちらであったか、なんとやら。


prev next

bkm
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -