Gift | ナノ

その後の男性陣
このお話の続き
*現パロですよ

それぞれの彼氏を待っていると、賑やかだった店内が一瞬騒ぎを止め、再びざわつき始めた。

何事かと出入口付近に視線を向ければ、個性豊かな男性が4人立っていた。

「ロー……!?」
「ミホーク?」
「キッド……」
「バルじゃん。え?なんで勢ぞろいしてんの?」

男性陣はそんなことどうでもいいとばかりに、愛しい彼女の名前を呼ぶ。

「帰るぞアスカ」
「は、はい」

「待たせてすまなかった」
「ううん、大丈夫だけど……」

「行くぞユエ」
「……」

「ちゃんと迎えに来たべ、ロン」
「あたしの質問は無視かい!」

店の迷惑になってはいけないと、アスカ達はすぐに会計を済ませて外へ出た。

「今日は楽しかったです」
「また開催するから」
「みんな、またね」

ユエは無言でこくこくと頷いた。
挨拶が終わったのを確認して、ローはアスカの手を取り、足早に去っていった。

皆もそれに触発されたのか、柔らかな彼女の手を握り、それぞれ家路に向かった。

「バル、なんでみんな揃って来たわけ?」
「んあ?おれはキッドに呼び出されで、暇潰しにあの店の近くのカフェにいたんだべ」
「ふぅん?」
「したら、なんでかローもミホーク先公もバラバラに来たんだべよ」

偶然というのは、時としてとんでもない奇跡を起こすらしい。
バルトロメオは、何があったかをかいつまんで話し始めた。


――数時間前。

「なんでユースタス屋達がいるんだよ」

不愉快なものを見てしまったかのように、ローは顔をしかめた。

「それはこっちの台詞だ」
「ほぅ……。珍しい組み合わせだな」
「!!?」

その後ろには、大学教授のミホークまでいた。
トレイには、甘いフラペチーノとケーキが乗っている。

キッドはメンバーを見て、察した。
ここにいるのは、全員彼女が女子会に参加して暇を持て余した彼氏サイドだ。

誰が言ったわけでもないが、自然と4人は窓辺のカウンター席に座った。
ローはコーヒーを啜り、ミホークはケーキを食し、キッドとバルトロメオは視線を合わせて、溜め息をついた。

「おい、バルトロメオ屋。お前の彼女の提案のせいで、おれはアスカとの大事な二人きりの時間を奪われたぞ」
「全くだ」

ミホークも便乗して、何故か睨んでくる。

「いやそれおれのせいじゃねぇべ!?」

逆恨みもいいところだ。
だが2人の視線は厳しい。

「おれの可愛いなまえに何かあれば、責任を取ってもらうぞ」
「なまえ屋よりアスカが心配だ……。あいつは天使だからな」

恥ずかしい台詞をさらりと言えるのは、それだけ彼女を想っている証なのだろう。

「ロンがいるべ」
「あー、そりゃ頼もしいか」

バルトロメオの言葉に、キッドは頷く。
強気で勝気で男らしいロンルゥナがいれば、ナンパ男など返り討ちにされるだけだ。

「しっかし暇だべ〜。ロン何してんべかなぁ」

バルトロメオは行儀悪く、ストローをがじがじと噛んだ。

「女は集まって喋るのが好きな生き物だからな」

言いながら、ローは携帯を見た。まだアスカから連絡はない。
ひとまず、あとどれくらいかかるかとメールを送った。

「てめぇの悪口でも言ってるんじゃねぇのか?」
「あ?アスカがそんなことするわけないだろ。ユエ屋はお前と別れたがってるんじゃねぇか?この腐れチューリップ野郎!」
「なんだと変態野郎!」
「店であまり騒ぐな。常識のない奴等だ」
「生徒に手ぇ出した奴には言われたくねぇよ!!」

ローとキッドは声を揃えた。

「てか歳の差いくつあんだべ?」
「年齢や立場など大した問題ではない。なまえはおれを愛し、おれもなまえを愛してる。くだらん概念は捨てろ」

鋭い眼光を向けられては、何も言い返せない。
この男は心底なまえを愛しているのだ。

「……ちっ」
「なんだよ?」
「メールの返信が来ねぇ」

気付けばそれなりに時間は経っていた。
キッドもユエから連絡はない。邪魔はしたくはなかったが、試しに電話をかけてみた。

「出ねぇな」

きっと楽しんでいるのだろう。だが一度気になると、どうにも止まらない。まさか何かあったのではないかと不安が過る。
その後も何度か時間を置いて電話をしたが、やはり繋がることはなかった。ローに至っては、先程から携帯とにらめっこしている。

「お」

険しい顔をしていたローの表情が、少し緩んだ。

「ようやく終わったみてぇだ。おれはアスカを迎えに行く。じゃあな」
「ならおれも迎えに行くべ」
「おれもだ」
「……全員仲良くお迎えか」


「――って感じだったべ」
「目に浮かぶわ」

ロンルゥナは面白そうに笑っていた。

「ロン達はどうだったんだべ?」
「ん〜、結局はノロケ全開だったかな。あいつら愛されてるなって思った」
「……」

ロンルゥナは手を強く握り返した。

「ちゃんとあんたのこと愛してるわよ」
「!!!べ、別に……!」

図星を当てられ、バルトロメオは赤くなっていた。

「みんなも、こんな風に話しながら帰ってるのかしらね」

あえて触れないでおくのは、ロンルゥナなりの気遣いだった。
夕闇迫る空には、いつの間にか一番星が輝いていた。
END


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