乙女は街へ買い物に | ナノ
足元に気を付けてくださいね。



「それじゃあ、この辺で。」
「はい、足元に気を付けてくださいね。」

  金髪の友人と別れて暫く、しかし次になまえの目に飛び込んだのも金髪の男であった。大きな背中、お馴染みのサングラスは後頭部に隠れてしまっているけれど間違いない。

「そういえばドフィのところの系列店も入ってたなぁ…」

  お抱えのブランドに確かチョコレートかケーキ店があると聞いた事がある。ならば視察か何かだろうか、と察しをつけたなまえは静かに距離を広げていくのであった。
  お仕事の途中ならば邪魔をしてはいけない、早々にバレンタインの材料を買って撤退しなくてはと足早に歩き出すのである。

「逃げられると思ってんのかいお嬢チャン?」

  まあ、この男にとってなまえを見つけ出すなんて容易い以外の何ものでも無いのだが。通路を回り込んであっさりとなまえの退路を塞いでしたり顔、悪役の台詞がこの上なく似合うのは某大財閥の総帥殿である。

「つれねェな。恋人がお仕事で頑張ってるんだ、一声応援してくれないのか?」
「邪魔、したらいけないかなって、お疲れ様ですドフィ。」
「フッフ!ありがとよ。」

  聞けばやはり力を入れている商品の視察だとか。確かにあの辺りは高級品が軒を連ねていた記憶がある。

「折角だなまえ、少々力を貸してくれねぇか?」

  レビューをホームページに載せるんだ、チョコレートの感想を教えてくれ。と口角を上げる。

「女の目線からの意見が欲しい。……優しいなまえチャンは断ったりしねェよな?」
「平凡な意見しかだせない気しか、しないのですが、」
「ほお、意見教えてくれるんだな、ありがとよ!」

  話は決まった、さあこっちに行くかと一言。なまえが携えていたカゴやら手作りキットを奪ってしまうと男は側近にぽいっと渡してしまうのだった。

「ど、ドフィさんっ、あのですね、あれを私は購入したいのですが、」
「おれの為のモンなら許してやるよ、フッフ…!…で、どうなんだ?」
「ドフィのです…。ドフラミンゴさんの為に作る予定のチョコレート一式…なのです。」
「フフフ。そうかい、そうかい。」

  そう言って男は側近に一言。「包んどけ」「かしこまりました」これでお買い物終了である。

「さぁなまえチャンはこっちだ、楽しくお喋りしようぜ…?」
「ひゃっ、」

  男は背を丸めて、すばやくなまえの額に口付けを落とす。相変わらず(この小さな恋人に限ってだが)スキンシップが大好きな男だ。
  さてさてなまえはいつになったらこの男から開放されてチョコレート作りを始められるのだろうか。


『ドフラミンゴエンド』
チョコチップマフィン(未定)
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