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登校すれば、教室が いつもにまして騒がしかった。気になりつつも中に入ると、オレの席には 蓮条先輩が座っていた。

人当たりが良くて、結構人気な人だ。

何故ここにいるのかと不思議に思っていたが、何やら仲よさ気に 暁さんと話していた。


「で〜?奈々ちゃんは、昨日いきなり転校初日で雲雀に呼び出されたわけだけどー…何で無傷なわけ?」


それは、このクラスにいる全員が思っていることだろうけど…今は、先輩が何で暁さんと知り合いなのか…ということの方が謎すぎる…


「まさか…ボコった?」

『あのねー、いくら 私がちょーっと喧嘩が強いからって、トンファー振り回す男に勝てると思う?』

「まぁ…ないわなぁ」


じゃあ何で?と身を乗り出して聞いている先輩…それより、オレの席なんだよね、そこ…


『イラっとしちゃったから、ちょっと黙らせようと思って、唇が触れるギリッギリまで顔を近づけてやったら、顔を真っ赤にして突き飛ばされちゃった』

「はぁっ?!」


暁さんの発言に 思わずでっかい声で叫んでしまった…


『あ、沢田くんおはよう
ほら美衣、そこどきなよ!座れなくって可哀想じゃん』

「あぁ、ごめんごめん お邪魔しました〜」

「いや、別に邪魔だとは…」


蓮条先輩は、オレの席から 暁さんの机の上に移動した。


「雲雀にそんなことできるなんて…あんた、凄いわね…」

『すっごい可愛かったんだけど〜、本気でチューしてやろうかと思ったくらい』

「へぇ〜意外とウブだね、雲雀って」

『続きがしたくなったら、いつでも呼んでねって言って、名前を呼んであげたら すっごいキョトンとしてたし』


な…名前を…?
暁さんって、命知らずだな…雲雀さんに、そんなに馴れ馴れしく…


「私も呼び出されたらやってみよーかなぁ」

『ダメダメ、美衣じゃ色気が足んないから』

「なーんで私の方が歳上なのに、あんたより色気がないって話になるのよ」

『結果論よ、実際に色気ないじゃない』

「あのねー、人の胸を見てそれ言うって あんた最低よ!!私のは、まだ成長中!!」

『いいじゃない別に、貧乳は将来垂れる心配なくって』

「嫌味か!!明日から迎えに言ってやんないわよ!!」

『あ、それ困る。私ってすっごい方向音痴だし…』


学校まで来れないって…どんだけ方向音痴なんだよ…


「ま、精々 雲雀の逆襲に合わないように気をつけなよ〜」

『今度 難癖付けられたら、本気で唇奪ってやるわ』

「それはそれで報告が楽しみね」


そう言って先輩は、教室に戻って行った。







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