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『ちゃんと名前で呼ばないと、私 泣いちゃうよ?』
「関係ない」
『そっか…じゃあ、もうここには来ないから…雲雀さんも迷惑してるみたいだし』
伏し目がちでそういった彼女に驚く。
さっきまで、散々名前を呼んでおいて、急なそんな風に呼ばれては 違和感を感じる…
そして、もうここには 来ない。そう言われて焦っている自分がいるのは確かだ。
「随分と急な話だね」
『私、落ち込んでるのよ?』
もうここには来ないなんて言わないで…と言ってしまいそうになる口を必死に閉じた。
その代わりに、努力する とだけ言う。
『ふふふ…やっぱり、来て欲しいんじゃん』
「うるさい…奈々」
『そうそう、その調子』
よくできました〜なんて笑いながら、僕の頭を撫でている彼女に 嫌な気はしなかった。
『素直じゃない恭弥くんも好きだけど、やっぱり素直な方が好きよ?』
「…は?」
¨好き¨という言葉に 波打つ心臓
あ、顔真っ赤〜やっぱりからかい甲斐があるね!と言っている彼女を見て、つい数秒前の自分を咬み殺したくなった…
変な赤ん坊
『きょーうやくーん』
「何…?奈々」
『お!ナチュラルに呼べるようになったね!』
「………………。」
→あとがき
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