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『昔から 素晴らしい子ですのね、桜ちゃんは。本当に…幼い頃のレイちゃんに そっくりですわ』
「はぁっ?!あいつに?ナイナイ、ありえネェって」
昔のレイちゃんは、いつも誰かを助けている 正義感の強い子だった。
それが 今のような、ぐーたらで何もかも諦めたような目をするようになったのは、ご両親がお亡くなりになってからだ。
『正義感が強いからと言って、決して皆が皆 強心臓というわけでも ありませんからね。本来は、とっても脆くて傷つきやすい子なのですよ?彼女は…。』
「…見えネェ」
『私は、レイちゃんを護る為なら何だってしますわ。私が護ってさしあげないと、彼女はきっと 消えてしまいますから…』
「…消え…る?」
『あらあら、ついお話ししすぎてしまいましたわ。今のは気になさらないでくださいね?おバカさんが、お腹を空かせて待っている頃だと思いますので、今日は お先に失礼しますね』
「もう帰っちゃうのぉ?」
寂しそうな顔をするユキさんに、流されそうになったけど、また来ますね と言って 家から出る。
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