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「…お前、いいかげんにしろ…
いくら娘さんのためだからといって、あんなヒドイこと…お前に…
ゆうた君のお父さんの気持ちがわかるか?!自分の幸せしか考えないお前なんか、あの人達と同じ目にあえばいい…!!許せない!!お前なんか!!」
「ヒイィエェ!!」
珍種を求めて三千里…ではなく、珍種を求めて屋敷内を探し回っていたら、なんとも不思議な光景を目にした。
怒りに満ちた目をしていた珍種と思われる少女が、田畑に抱きついたのだから…
「…でも、こんな…こんなサイテーな奴でも、生きてるんだ…冷血だけど 冷たくないぞ…こいつ…すごく あったかいんだぞっ!お前と同じだぞ 大神ィ…!!」
珍種の少女…なんていい子なんだろうか。あぁ、不覚にも お姉さん泣きそうです。年齢は同じだけどね。
「どんな理由があったって、やっぱり殺しちゃダメなんだ…こんなの理屈じゃないんだよ…!!」
「…そうだな、そうだよな……どんな理由があっても殺しちゃいけなかったんだ……娘を頼みます」
「え…?」
「どけえ!!ハハハ!!
でたな¨火のタマン¨!!この¨アクマジン¨が相手だぞ!!」
「た…田畑!?」
「たくさんの人を苦しめ殺したぞ!!悪いか!?オレの邪魔をするな!!」
「パパ!?何して…」
「…ちさ、ごめんな…パパは…自分の為に人を殺して¨アクマジン¨になってしまったんだ…¨火のタマン¨のお兄ちゃんは、パパを退治しに来たんだよ…」
なんという茶番だろうか。
でも、悪くない。珍種の少女が 彼を人間へと戻したのだ。
私は、その光景に拍手を送った。
「だ…誰なのだ…?!」
私の行動に、珍種の少女を含めた 全員がこっちを見た。
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