ある訳が無い者
今日は久々に部活が休みだった為、友達と渋谷に遊びに来ていた
「そう言えばさ、今日の天気何か変だったよね」
「そうそう!雲の色が半分ピンクで半分青だったよね」
『あれも異常気象の1つなのかな?』
そう、今日の昼頃に空がおかしかった
友達が言ったように半分がピンク、もう半分は青という異常な色の雲が発生した
「でもさ、5分位で消えちゃったよねー」
5分程経った時、その雲はみるみるうちに消えていった
「おい!鞄が燃えてるぞ!」
「え、何?火事?」
どうやら交差点のど真ん中で鞄が燃えたらしい
『何か火事みたいだね』
「怖いねぇ、火事だなんて」
野次馬がどんどん交差点にカメラや携帯を持って集まってくる
「鞄如きにそんなに集まってどうするんだか…」
ーパァァン!ー
「きゃあああああ!」
「今度は何なの!?」
音と悲鳴が上がった方を見てみると、ビルの硝子が大部分に渡って割れていた
これじゃ、"CODE:BREAKER"の話の内容と一緒だ…
ードンッー
『あ、すみません』
ぼーっとしていたら人にぶつかってしまったようだ
「こちらこそすみません。怪我は?」
その人は私に手を差し延べ、立ち上がらせてくれた
『大丈夫です。心配ありま……っ!?』
私は言葉を詰まらせてしまった
向こうも私の顔を見て驚いているように見える
そう、私がぶつかった相手
それは……ある訳が無い者
この世界には決して存在しない筈の人物
"大神零"だった
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