『新一!!』
「おう!なまえ、どうした?」
『サッカー優勝おめでとう!』
今日は中学サッカーの春の大会。
新一は2年生のレギュラーとして出場した。
そして、新一がラストにシュートを決め、1点を入れて優勝となったのだ。
『シュートかっこよかった。』
「ありがとな。オメーのお陰だよ。」
『私の……お陰?私何も新一にしてあげられてないよ?』
「バーロー。毎回のように試合来てくれて、甘いの苦手なの知っててレモンパイ作ってきてくれて、頑張れって応援してくれてよ。だからなまえのお陰だってっんだぜ?」
『新一……。』
「今日も作ってきてくれたんだろ?レモンパイ。」
『あ、うん!作ってきたよ。』
鞄の中からレモンパイを取り出し、新一に手渡す。
新一はそのレモンパイを一口パクリと食べた。
「俺、なまえのレモンパイを一生食べてたい。」
『え?』
「だーかーらー!俺に一生オメーのレモンパイを作ってくれって事だよ!」
『いいよ!喜んで作る!!』
笑顔でそう答えると新一の顔がどんどん赤くなっていった。
目が合った瞬間に顔を逸らされてしまった。
『どうしたの?新一。』
顔を覗き込むとまた逸らしてしまう。
「……この鈍感!どういう意味かわかるだろ!」
『え?……何か言った?』
小さな声で言った為に私の耳には届かなかった。
「なっ……なんでもねぇよ…。」
『変な新一…。あ、蘭だ!らーん!』
私は走って蘭の所へ向かった。
その時また新一が何か言った気がしたが、今度こそ全く聞こえていなかった。
"オメーとずっと一緒に居たいって事だぜ?"