お母さん
『……………娘?』
娘って…え?
「そうよ?あなたは正真正銘私の娘なんだから!」
いやぁ、笑顔でそう言われましてもねぇ… こちらは全くわからないですし
あっ、そういえばここに来る前階段から落ちたんだっけ…
いっそのこと全てこの人に話すしかない
この人しか頼れる人がいないのだから
『あの……』
「ん?どうしたの?」
にっこりと綺麗な顔で笑ってこちらを見てくる
『お話聞いてもらえませんか?私の事について…』
私は今まであったこと全てを話した
元々は違う世界にいたかもしれないこと
漫画の主人公に憧れてマジシャンになりたかったこと
そして、階段から落ちたこと
「んー……いわゆるトリップってやつかしらね?でも見た目は昨日までとそこまで変わってないのよね。…あっでも、声と性格は違うわ」
誰も信じてくれないような内容なのに真剣に考えてくれている
優しい人だな…
「うちのなまえから魂が抜けて、その体になまえちゃんの魂が入り込んだのかもしれない……そういう運命だったのかもしれないわね」
『……驚いたり、私のこと変な人とか思わないんですか?』
「それは最初は驚いたわ。でもね、あの子なら今どうしているかわからないけど、一人でやっていけると信じてる……あなたは中身は違うかもしれないけど、私の大事な娘よ?」
『えっ……』
「これからは私があなたの本当のお母さんなんだから!」
『お…母……さん』
自然と涙が出てきてしまった
私には両親がいなかったから、久々に母の温もりを感じて嬉しかった
『ありがとう……お母さんっ!』
△ | ▽