形見


『…はぁ…はぁ…っ……っお母さん!!!』

あの後、迎えに来てくれた新一のお父さんとお母さんに病院まで送ってもらい、病室に駆け込んだ

「意識はありません。大変お辛いと思いますが、覚悟をなさっていて下さい」

『………お母さん…』

病院の先生にそう言われて、頭が真っ白になった

「なまえ……」

新一が心配して後ろから声を掛けてきたが、今の私には誰の声も届かない

お母さん…朝はあんなに元気だったのにどうして……っ!!

「…………なまえ…?」

『っ!!………お母さん!!』

「…来て……くれた…のね」

『何言ってるの…来るに決まってるでしょ!』

私は泣きそうになった

「なまえ……泣いちゃダメよ……涙を堪えて……強…く………なりな…さい。これから…辛いこ…とが……貴女には…沢山待ってる……全てを受け止めて生きなさい」

そう言うとお母さんは私にネックレスを握らせた
お母さんがとても大切にしていたものだった

『っ……お母さん』

お母さんがにっこりと笑った









ーピーーー











鋭く長い電子音が部屋中に響く

『ありがとう……お母さん』

私は泣かないでいた

空は綺麗な青空だった




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