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スコールが止んだ後環は真剣な顔をして呟く。
「…皆の衆覚悟はいいか」
「「イエッサー」」
それはまるで本当にサバイバルをしているかのような雰囲気。
「これがガーデン内の地図だ。我々の現在地がおそらくここでハニー先輩が流れ着くと予測されるのがこの2箇所」
その地図はだいぶ不確かなものだった。“?”と表されているのだ。
「距離にして約3キロ!いいか、これはサバイバルだ!我々はこの密林を無事脱出してハニー先輩を救出しなければならない!効率良く二手に別れよう。モリ先輩チームとキング君チーム!俺と共に行くという勇気ある人間はこの指に…」
その時点で環の側にいる者は誰もいなかった。寂しくなった環は当然着いて来て、結局皆で固まって行動することになる。
「やあね、本当に虫とかいないでしょうね?何か病気持ってる蚊とか」
「うちがそんなミスを犯すとでも?」
「そう。後草まけしそう。私のお肌はデリケートなのに」
こういう時に限って生足を出しているものだ。後ろから後がして振り返れば崇が珍しく溝にはまり、足を取られていた。
「あたかも殿のようなドジを!」
「殿のごとしヘマを!」
崇は光邦が心配でならないのだろう、ハルヒは崇を見て思った。
「そうか、幼馴染とか…」
「「従兄だよ」」
「エ」
ハルヒは部員達の事情を深くは知らなかった。
「銛之塚は代々埴之塚に仕えてきた家柄でね」
「つっても二代前の婚姻で親戚になったわけだし、主従関係なんてとっくに風化してるはずだけど」
「それでもモリ先輩が常にハニー先輩についているのには理由があるんでしょうね」
「“血”が騒ぐんだろうな…モリ先輩の中に古代より流れる家臣としての血が――…」
代わる代わる説明する人に視線を移すハルヒ。いい話だと感動するよりもやっぱりよく分からなかった。
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