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そうして鏡夜が相手をする女性に会うというのを遠くから見守っている面々だった。
「鏡夜、紹介しよう。荘司奈々子さんだ」
「はじめまして」
「おお!美人!エキゾチック〜☆」
「カルメンってかんじだ、カルメン!」
「カルメンって悪女じゃ…」
「やっぱり美人よねぇ…私もそうだと思ってたわぁ…」
竜胆は力無く小さな声で呟いた。それを慌ててフォローするのは光と馨環だが、その声はどうやら届かないらしい。
「鏡夜さんは大学では何を?」
「いや僕はまだ高校生です」
「まあ、冗談がお上手なのね☆」
「「ナイスカルメン!」」
「品も良さ気でいい感じじゃん!」
「どーせ私には品がないわよー!」
竜胆はそう言いながら頬を膨らませた。光馨の笑い声と竜胆の気配を感じたのか、鏡夜は一瞬こちらを睨んでいたが、それには誰も気付かなかった。少し二人を見ていたけれど、あまりにもカルメンさん(双子命名)が普通で品の良さそうな女性だと分かると、もう皆は興味なさげに今日のメインイベントに移る。竜胆は横目で鏡夜を見ているのをハルヒは知っていたが。
「「よーし!そんじゃ今日の部屋割りクジ引き〜!」」
「イッエ〜〜!」
「きょーや先輩と竜胆ねぇはツイン部屋先にとってるし、ツインを3部屋ねーせっかくの旅行だし、いつもと違う相手と寝泊りするのもアリッしょ☆」
「聞いてないぞ、そんなクジ引き…」
「あら、それは楽しそうね!私もそっちに参加しようかしら?誰か鏡夜とのツイン権譲るわよ」
誰もそれはいらない。あの寝起きの悪い魔王様を再び拝みたくは無いので、皆竜胆の言葉をスルー。
「…何で皆シカトするわけ?いいわよ、もう。私お手洗い行ってくるわ〜」
化粧ポーチを持って竜胆は化粧室へ入った。そしてすぐに駆け込んできたハルヒは顔を赤くし個室へ入って行った。それをどうしたのかと竜胆は見送った。
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