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竜胆の双子が発覚したのも束の間、ハルヒは聴診と胸囲の為に名前を呼ばれた。ハルヒの裸が見られると喜ぶ女子達。
「脱衣には奥のカーテンを御利用下さいませ」
「別にー?」
「カーテンなんかなくたって?」
光と馨はその場で脱ぎ始める。そちらに視線が集まる内にハルヒは崇と光邦の手によってカーテンの中へ、そしてその中に居たのは環だった。環は用意してそのカーテンを開く。
「ハイ」
黒髪ウィッグをつけた環は自称藤岡ハルヒ。が、あからさまな環。
「きゃー!なんで環様――!?」
「ハルヒくんのコスプレ!?」
「ぎゃははは!ホントにやったよこの人!バレるっつーの!そりゃバレるっつーの!」
「あはははははははははは!」
光と馨は当然その光景を見て爆笑し、竜胆は自分が目立たないように必死に笑いを殺すようにお腹と口元を押さえていた。
「おまえらァ!絶対バレないっておまえらがっ!」
ホモホモ要員のささやかな復讐を受け取ってしまった環はハルヒに謝るもハルヒは環に睨みをきかせた。
「ではハルヒ。隣の教室に口止めした医師を待機させてあるから、行っておいで」
今日集まった医師は全員鳳家が経営する病院の医師だったのだ。それを言わなかったのは面白くなりそう、という鏡夜のせいだろう。
「んじゃ、牡丹の君も付き添おう〜」
竜胆と怪訝そうなハルヒは隣の別室へと入って行った。
「藤岡さんね?えっとそちらは――」
「大丈夫ですので」
ハルヒと竜胆は奥のカーテンに入ったは良いものの、ハルヒは首を傾げる。
「どこまで着いてくるつもりですか?」
「いやぁ、ハルヒちゃんとこうやって二人きりで喋る事ってあまりないから良いでしょう?」
確かにいつも誰かしらに邪魔されて二人きり、という事は少ない。ハルヒはそう思いながら自分の上着に手をかける。
「ハルヒちゃんから質問を受け付けようと思って。気になる事いっぱいあるでしょう?出来る限り答えるよ、ノーコメントもあるけどね」
「いえ、そこまで気になってないです」
ハルヒの言葉に竜胆は笑顔のまま固まった。なんとも正直というか、探究心すら無いのだろうか、この子は。
「ま、それでもいいか。世間話でもしようか。ねぇ、ハルヒちゃんには夢ってある?」
「…ありますよ。自分には夢があります。だからこそ桜蘭に来たんです」
「…そう。夢があるのは素敵よ」
竜胆は寂しげに微笑んだ。
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