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そして次の日、ハルヒは身体検査の規模の大きさに驚く事になる。第一保健室の扉を開ければ白衣を着たお医者様とナースキャップを付けたメイドさん風の看護師達がようこそいらっしゃいましと出迎えてくれた。
「さあお入り下さいませ、お坊ちゃま方はあちらに。お嬢様方はこちらに。藤岡様には私吉乃が付き添わせて頂きます。順番を待たれる間何かお飲み物はいかがですか?」
いたれりつくせりのその状況は貧富の差を感じざるを得ない。そしてハルヒは部員達の言うフォーメーションAも気になっていた。それはすぐに気付く事になる。白衣を着た光邦と崇の姿。当然周りにはバレている。
「二人は何かあった時の対処要員だよ」
「鏡夜先輩。2・3年は授業では」
「俺は保健委員だからな」
そしてハルヒは近くに見知った人物を見つける。
「竜胆先輩も保健委員ですか?」
「いいや」
「…なら、何でここに…?対処要員ですか?」
「…柊牡丹は午後私的理由で早退するから早めに検査を受けるそうだ」
鏡夜の物言いにハルヒは首を傾げた。
「竜胆先輩、おはようご――…」
ハルヒは目の前の人物を見て違和感を覚えた。知っている人物のはずなのにやっぱり違う。その人物は微笑んだ。が、その微笑み方をする彼女をハルヒは知らない。
「牡丹の君がお脱ぎになるわよ!」
「しっかりと見届けませんと…!」
牡丹の君は服を脱いで胸囲を測っている。その体は男のものだった。
「…ど、どういう事ですか!?」
「特殊メイクに見えるか?」
「ち、違いますよ!だってあれ…」
「「あれが本当の牡丹にぃだよ」」
光馨の言葉にハルヒは目を見開いて驚いた。確かに竜胆の生徒手帳は柊牡丹、そして男に○がついていた。じゃあ、“竜胆”という名は?そんな疑問は解決しないままだったのだ。
「…双子、だったんですか…?」
「そう。驚いた?」
その声にハルヒは勢いよく振り返った。そしてそこにはよく見知った竜胆の姿。が、変装の為かウィッグとレンズの厚い眼鏡とマスクをしていたがそれに少しほっとした。
「二卵性なんだけどね、面白いくらいそっくり。まぁ、牡丹は自分の背が低いって気に入らないみたいだけどね。シークレットブーツで私と並ぶから」
女性にしたら高い方。男性にしたら平均か少し低いくらいの背。シークレットブーツのせいなのだろうか、竜胆と大した差は無さそうだ。
「…じゃあ、どうして竜胆先輩はあの牡丹さん…のフリをしているんですか?」
「…そうだねぇ。深い事情かなぁ。ハルヒちゃんにはいつか話してあげるかもしれない」
内緒と言うように指を一本立てた竜胆。その笑顔の裏に何があるのだろうか、ハルヒにはまだ分からない。
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