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そして作戦は実行される事になる。須王本邸の入り口の前には待機しているハルヒと光馨。そこで考えのあると言った光邦と崇の到着を待つ。光邦と崇はぎりぎりになるだろうから、皆は環を空港まで連れて行く方法を考えてと言い残して足早にいなくなっていたのだ。

《きょーや先輩、きょーや先輩!どーすんのさ、殿のママもう空港に着いちゃってんじゃん!》

鏡夜の電話越しからそんな光の声が響いていた。

「騒ぐな光。12時丁度の便なら時間はまだある。それよりそっちの準備は大丈夫なんだろうな。おまえ達3人を置いてきた事の方が不安だよ、俺は」

「あ、私も不安〜!」

《万全だよ、失敬な!だから後はハニー先輩達が…》

《皆〜!お待たせ〜!》

《来た!ハニーせんぱ…》

光邦と崇の作戦とは一体何だったのだろうか。よく聞くと皆のもとにはシマを含め第二邸の使用人をしていた皆が集まって居た。そんな声が聞こえた鏡夜は携帯を閉じた。

「まず第一段階はクリアね。ハニー先輩とモリ先輩が侵入して環を連れ出す。そのまま常陸院のヘリを飛ばす…けれど、だめね。鏡夜。佐倉ヘリポートは中止よ」

「何かあったか?」

「濃霧が予想より早い速度で移動してる。このままじゃ西側ルートも進めないわ。さて、鏡夜、どうする?」

「俺が一つのルートしか想定していないとでも?」

鏡夜の言葉に竜胆は小さく笑った。

「とりあえず無線、無線」

無線を弄り、常陸院のヘリに繋げるもそこには焦っている光と馨の声。

「光馨、落ち着け」

《鏡夜!?》

「環!」

「環か、いいか、俺の指示に…」

そう言った時に無線は途切れてしまった。それからどんなに繋げようと繋がる事はない。

「…何だ?」

「…ジャックされた可能性があるわね」

「ジャック…?」

「この作戦を実行しようとしているのは私達だけじゃないって事よ」

でも、まさかこの状況で入ってくるとは思ってもみなかったけれどね。

「どういう事だ?」

「桜蘭学院で環を心配する人だけではなく、その“家”の力が関わ――」

「はっきり言え、バカ」

今すごく格好良い事を言おうと思っていたのだけれど、まさかそれを邪魔されるとは思ってもみなかったわ。竜胆は小さく溜め息を吐いた。


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