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ハルヒのパソコンの設定を終えて雑魚寝する男達。気がつけば時刻は朝の4時過ぎだった。

「ハルヒちゃん、お茶貰ってもいい?」

「どうぞ」

「勝手にやっちゃうわね〜」

「キャ――――!!!」

竜胆は突然玄関から聞こえた声に思わずお茶葉を落としそうになった。そんな驚いた竜胆の横を通り抜けて仕事から帰った蘭花は寝ている男達に詰め寄った。

「アンタ達なんなのよ!こんな時間に年頃の娘の部屋にィ〜〜!」

「ギャ―――!いててて、らんかさんやめ…」

「あぁ!すいません、すいません!私がそこに寝かしつけたんですよぅ!」

「「何なの、そのフォローの仕方。下手すぎ」」

「助けてやってるのにその言い草は何!?」

確かに自分でも何を言ってるかよく分かっていないけれど、寝ていないのだから仕方ないでしょうが!

「アノー研究所っていう所が三年前に環先輩のお母さんと同じ免疫系異常の新薬の第T相試験をしてるみたいなんですけど、結果がどこにも見当たらないんです」

「アノー研究所?聞いた事ないわね。結果が載っていないのなら試験は失敗したと考えるのが妥当でしょうね」

竜胆は鏡夜とハルヒが見るパソコンを覗き込む。

「でも去年の夏に研究所から株式会社に変更してます」

「何の成果も上げていないのに株式会社に…?アノー製薬…聞いた事がないが…」

その声に光と馨、今まで眠っていた光邦や崇も目を覚まし、パソコン前に集まってくる。

「アノーってフランス語だねぇ〜“指輪”とか“わっか”って意味だけど…」

「“環”という意味でもある」

崇の言葉に皆驚いた。そして、見つける。

「ねえ…それにこのスペル…ANNEAUの“AU”を隠すと“ANNE”」

「「殿のママの名前に――…」」

「…やはり理事長がグランテーヌ家をバックアップして新薬の開発を…?しかも新会社を立ち上げたのは既に発売準備の段階まで来ている為なのか…?だとしたらどうやってここまで極秘で――……鳳家が関わっているのか――…」

「…それならここまで極秘にやれてきたのもおかしくないわ。しかもあのお父様なら尚更。…条件としては独占販売権、とかが妥当ね」

「アノー製薬のオーナーは恐らくグランテーヌ家だ。理事長はグランテーヌ家に新薬開発で莫大な利益を得させようとしている。グランテーヌ家が須王の援助なしで一人立ちできれば会長の支配下から脱する事ができる。環と環の母親を自由に――…理事長の目的はまずそこだろう。しかし、ここまで極秘で進めていたのには他の理由があるはずだ。全ては計画を会長に悟られない為――…理事長の目的は恐らく…」

「やはり会長失脚…」

「「出た!今朝のトップニュース!」」

鏡夜が持ち込んでいたパソコンで見た今朝のトップニュースには“須王コーポレーション、取締役会で須王会長の会長職辞任請求か”

「…間違いない。理事長の狙いは会長の失脚だ――…」

壊れていく。環の夢が。お母さんとお父さん、そしてお祖母さんと皆でコタツ、それが環の心からの夢だった。環の夢は環の父親の手によって壊されようとしていた。




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