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竜胆は授業を半ば聞き流しながら環の言葉を反芻していた。環の背中はとても寂しそうで、私は今後を考えなければならない。だってさ、そもそも環の居ないホスト部は無いのよ。親がいないホスト部はやっぱり駄目。竜胆はふと自分の携帯のバイブが鳴った事に気がついた。机の下でそれを覗き込むと目を見開いてもう一度読み直した。ノートを千切ってペンを走らせた。そして手を挙げる。
「すいません、家の事情で早退しなければならないのを忘れていました」
竜胆は立ち上がり教員の反応を見てから歩き出した。わざと鏡夜の前を通って紙を落としてから教室から出て行った。
【緊急。ハルヒちゃん達が須王本社に乗り込んだ。ロビーで騒いでいる。裏門にいるから環連れて来て】
殴り書きされた文字を読み鏡夜は体調不良と、付き添いに環を連れて小走りで裏門まで向かった。
「環!鏡夜!早く乗って!」
柊家の車は真っ直ぐに須王本社ビルへと向かった。
「竜胆!どういう事だ…?」
「どうもこうもないわ。鏡夜から聞いたでしょう?紙に書いた通り。会長に会わせろと言っているらしいわ…これ下手したら最悪の展開よ…」
竜胆は頭を抱えた。
「…下手したらハルヒちゃんは退学。ハルヒちゃんだけではなく光馨もハニー先輩とモリ先輩もいるのよ……ホスト部の存続自体危ういわ…」
須王本社につくと、環はすぐに受け付けへ向かった。会長はいなかったがたまたま居た譲氏が皆を連れて行き、応接室に皆居るらしい。三人は応接室に駆け込んだ。
「ハルヒ!」
「「殿!」」
「タマちゃん、鏡ちゃん!りんちゃん!」
「おまえらも!学校まで抜け出してどういうつもりだ!」
「ハルヒ、すぐに帰れ」
「環先輩自分は本当の事が−―…」
「うるさい!帰れ!ハルヒ…頼むから…迷惑なんだよ…!」
環の本気の怒声。その後悲しそうに顔を歪める環。ハルヒはそれ以上何も言えなくなり、光や馨達に付き添われて応接室から出て行った。
「…鏡夜、竜胆。俺らは学校へ戻らないと」
「…私はいいわ。家の事情で早退って言って出て来たわけだし。と、言う事でまた明日」
竜胆はひらひらと手を振りながら一人歩いて行った。
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