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そして次の日。目の前の豪華なお弁当に皆感激の声。昼にしか自由な時間を取れないが、食堂に行けば女の子達に囲まれてしまう為にまともに喋れない。そんな皆の為にハルヒは皆の分のお弁当を作ってきたのだ。
「ナイスアイディアじゃんハルヒ☆うちのガッコ弁当持ってくる人少ないし、これなら女子の誘いも断りやすいもんな」
「アハハー聞いたよ〜毎日囲まれて大変なんだってねぇ〜」
「もう普段以上にハーレムですよ」
「見てよこのゴーカイな煮物の形!」
「うちのシェフじゃとてもこうはいかないな」
お弁当を囲んで皆は笑みを浮かべていた。それは普通の時間。だが、その普通の時間はしばらく訪れない事になるなんてこの時は誰も、いや環以外は気付いていなかったのかもしれない。
「うん。言っておきますけど材料費は徴収しますから。一人200円」
そんな誰も小銭なんて持ち歩いていないと言うのに。竜胆は小さくくすりと笑った。
「「つーか、ハニー先輩達こんな時間にOBが堂々と校舎入っていーワケ?」」
「だって放課後じゃタマちゃんすぐ帰っちゃうんでしょ〜?チカちゃんが虐められたりしてないかも心配だしね〜」
「「誰も虐めないよ。あんなふてぶてしいメガネ男子」」
「なんだと〜?」
そんな会話を聞いて環は小さな笑みを零した。
「タマちゃんまで笑う〜?」
「すいません。こういうの久しぶりって思って。ハルヒあるがとな。卵焼きもハンバーグもすっごく美味しい」
「ど…どうも」
「…ホント皆との時間がとれてよかった。実はさ皆に話したい事があって――…」
環が不自然な笑みで言った言葉に驚きを隠せない。いつもは理解して頷く鏡夜も同じだった。
「…やめる…?ホスト部を…?」
「うん」
何かの聞き間違いかと思って聞き返せば、環は肯定してしまった。
「なっ…なんで!?あのバーさんに何か言われたとか!?」
「お祖母様に言われたのは確かだけど、決めたのは自分の意思だよ。本邸に入って本格的に須王の仕事を学ぶようになって、正直今はその事で手一杯なんだよ。だけどすごく楽しくもあってさ、自分のやりたい事が日に日に明確になってくの感じる。だから…」
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