137 (1 / 2)



「校内オリエンテーリング大会…?」

環がいない所でホスト部はこんな企画を立てていたのだ。当然知らない環は突然の事に驚きを隠せない。

「はい。参加者にはペアを組んでもらい、すでにホスト部員達が待機している7ヶ所のポイントをいかに早く回れるか競って頂きます。回る順序は自由ですが各ポイントで出される“お題”をクリアし、“ある物”を集めないと先には進めません」

「え…俺そんな企画聞いてな…」

「環先輩は怪我の治療で部を休まれがちだったのでこちらで勝手に進めさせて頂きました。その後具合はいかがですか?」

「え…うん。おかげ様でほとんど治って…」

ハルヒは淡々と言ってのけた。優勝賞品は“ホスト部員に一日願いを聞いて貰える権”が貰えると聞けば参加するのは女性達だけではない。鳳鏡夜を召使いにしたり、銛之塚と埴之塚を運動部へ貸してもらえたり、柊竜胆を演劇部に貸したり。用途は様々だ。そして集めなきゃいけないものとはカレーの材料。ゴールまでのタイムとカレーの美味しさの合計点で優勝ペアを決める。ゴール地点は東校舎の第一調理室。そこにハルヒと環以外の部員達はいなかった。もう既にポイントへ立っている。そして桜蘭ホスト部杯校内“カレー作り”オリエンテーリング大会が始まった。第一ポイントには光と馨の姿。久しぶりのどっちが光君でしょうかゲーム。今日の為にわざわざ色を揃えた二人。環と鹿谷のペアは環のお陰でなんなくそれをクリアした。第2ポイントは黒魔術部。呪いグッズ使用法あてゲーム。環は以前光と馨がケンカした際に使われた人形を見つけていた。

《あ、もしもし、竜胆ねぇ?そっちはどう?》

「どうもこうも。楽しい事になってるよ」

竜胆は目の前の光景に微笑んだ。フェイクを入れた事が正解らしい。これにきっと一番お金がかかってるわと竜胆は不敵な笑みを浮かべた。

「先輩!」

竜胆は呼ばれて振り返った。その声はもう間違える事の無いよく知った人物。

「ハルヒちゃん、どうかした?」

「…ゴール地点が変更になったんです…」

普段走る事すらあまりしない彼女は肩で息をする程走ってきたらしい。

「システムキッチンの修繕が入る事を先生が忘れていたらしくて…急遽南校舎の第三調理室を借りました…念の為ポイント毎に参加者に伝えて頂けますか…?」

「分かった。ハルヒちゃん。偉いね、頑張って」

ハルヒはもう完全に桜蘭に溶け込んでいた。出会った頃はあんなに嫌がっていた事も今は本気。誰かに諭されるわけでもなく自分の意思で動いている。ねぇ、環、鹿谷さん。あなた達の意思はどこにある?自分の本音はどこにある?


[prev] [next]
[bkm] [TOP]
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -