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そして翌日の土曜日の放課後。ホスト部員達は昨日の地図を前に図書室へ集まっていました。そこに一人の影はない。

「ではまず分担を決めるぞ」

古い本には文章と地図の両方が記載されていた。どちらかを解読しても意味がない。きっと両方解読しなければ駄目なのだろう。

「モリ先輩とハルヒと俺で文章を。ハニー先輩、竜胆光馨と地図の方をお願いできますか?笠野田君は好きな方を」

古典が得意の方、理系として地図の解読が出来そうな方と別れた。

「「ねー殿はー?」」

「ロワグラン・ホテルでミーティングの見学だそうだ」

「「また――?」」

「まぁ仕方ないだろう。恐らく今後は環不在の機会がもっと増えてくる。おまえ達もその辺をよく理解しておく事だ」

「「……」」

環は本格的に父の仕事を学びたいと積極的に動いていた。部員達はそれに従うしかなかった。分かっている事だが、やはり環がいないのは寂しい。顔を伏せなきゃいけない場所もいつもより静かだった。

「なーんか折角の宝探しも殿がいないんじゃイマイチ盛り上がらないよな―」

「…まーね」

地図解読の為に四人はまず参考になる様な本を探しているのだが、目ぼしい物以前に話は逸れてしまう。

「あれっやけに素直〜☆イライラモード解除された?ていうかハルヒがなんかおちついちゃったもんね」

「うん、アワアワハルちゃんじゃなくなっちゃったねぇ〜何があったのかねぇ?」

「何かあったのは間違いないでしょうね〜」

ニヤニヤしながら光を見れば、光は少し照れた様に焦った。

「うっうるさいな3人して。…まぁハルヒとはもうすぐスキーもあるしね。それにさあ、なんかよくわかんなくなってきた。ハルヒがちょっと前まで殿の事ロコツに意識してたのは確かだと思うんだけど…それなら何で…なんで“カメ”だったのかなって…」

何を言うかと思えば先日のカメの話。皆その姿を思い出せば笑いがこみ上げてくる。

「アハハハッハ!ほんとにね!それはホントわけわかんない!フツー嫌がらせだもん!あんなの!」

「でも、カメさん似合ってたよねぇ〜〜」

「カメを着こなす環…!さすがとしか言い様がないわ!」

「つかまずハニー先輩を一寸法師じゃなくてじーさんにするそのセンス!」

「オッホン」

大きな声で笑っていた4人の後ろからわざと咳払いする教頭の姿が見えた。4人はビクリとし、小声で話し始める。

「…まぁとにかく理由はわかんないけどハルヒは他の事で色々やる気みたいだし、殿もなんか忙しそーだし。そんならもーちょっとこのままで…僕も自分磨き頑張んなきゃかなって」

「光!かっこいい!」

「ヒカちゃん!」

「光!素敵!」

光の言葉に感激して皆で抱きつけば光はワケも分からず首を傾げる、その後ろから再びわざとらしいオッホンという咳払いが聞こえたのは言うまでもない。


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