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場所を移動して第一調理室。調理室ではハルヒとれんげがお菓子作りに没頭していた。それを扉の外から見守るホスト部面々。

「ハルヒ君、クリームにお砂糖はもう入れてもよくて?」

「あ…ハイ。チョコレートの方はどうなってますか?」

「それならホラ、ちゃんと溶かして…」

そこには焦げたチョコレートの残骸。

「わあ!直火は駄目!」

なんともハルヒは大変そうだった。何せご令嬢はキッチンに立つ機会なんてまるで無い。そんなド素人と一緒にお菓子を作ると言うのはハードルが高い。

「美しい光景だ…」

「貴方達にはハルヒちゃんのエプロン姿しか目に入ってないの?あのままやってたらハルヒちゃんかわいそうよ〜」

「「じゃあ、竜胆ねぇも参加してくれば?」」

「嫌よ。料理なんて出来ないし、火傷でもしたら大変ですものー!私は食べる専門なのよーねぇ、ハニー先輩〜?」

「ねぇ〜」

竜胆と光邦は微笑みあった。それにしても竜胆の女装バージョンは意外にも面倒だという事を知る。どこかでスイッチが切り替わるのかまるで典型的なお嬢様を演じている様に見えた。

「ちなみに何の作業だ、アレは」

「お菓子作りね」

「きょーちゃんにお菓子作ってくれるってー☆」

「やっぱパン屋とかと勘違いしとる…ハルヒもかわいそうに」

どうしてお菓子作りになったのだろう。それはやっぱり勘違いしているからそう納得しようとしている皆を環は一蹴した。

「馬鹿者!おまえらの目は節穴か!?甘い香りの満ちた室内…焼きたてのかわいらしいお菓子達。そして仲睦まじいクラスメイトの女子二人!すべて計算通り、これはハルヒを乙女に目覚めさせる一大プロジェクトなのだ!」

「「なら竜胆ねぇに頼めば――」」

竜胆は鼻で笑ってから環を指さして豪語する。

「ふ、甘いのは空気じゃなくて環の頭よ!女子二人が一緒に居れば乙女に目覚める?目覚めるのは女子特有の褒め合いと腹の内での貶しあいよ!」

「「女子の認識おかしくね?」」

「私ならもっと別の方法…!そうよ、あえて男の子を近付けさせ乙女を超えた女の部分を出すわね!」

「な、なんと言う事を…!竜胆には恥じらいというものは無いのか!?ハルヒにそれは早すぎる!女の子同士特有のやわらかな雰囲気がハルヒに女としての自覚をうながしてだな…」

「うるさいわよニセ王」

環熱弁の途中でれんげに気付かれ、そして環は再び壁に向かって膝を抱える事になる。


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