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「もしもーし?ハルヒちゃん?久しぶりー」

《竜胆先輩!良かった。自分、竜胆先輩に聞きたい事があったんです》

そうか、それはちょっと良かったとは言えないかもしれない。竜胆は国際電話をかけている受話器をきつく握り直した。本当ならここで何とも無い世間話をする所だろうが、ハルヒが竜胆へ聞きたい事、と言われれば嫌な予感しかしない。

「…そう。どうかした?」

《あ、あの、環先輩は元気ですか?》

え?あ、そっち?えっと何て言ったら良いのかなぁ。竜胆は少し考えた後、

「あいつとはケンカしたから知らない。会ってもいないし、会いたくもない。あいつの事は聞かないで。名前も言いたくない」

《えぇ!?ど、どうして!?》

「…あいつが変態のせいよ…後はご想像にお任せ致します」

違う。それ以上の言葉が出て来なかっただけです。竜胆は目の前に相手がいないのにも関わらず視線を逸らした。そして環ごめん、と心の中で呟いた。

《そうですか…あ、後光と馨の事なんです》

だよね。何か無いはずがないのだ。

「…二人がどうかした?」

《…様子がおかしいんです、二人共。ケンカした、とかそういう雰囲気ではなくて、少し距離が出来てしまった様な…》

「…ハルヒちゃんはどう思った?」

《え?…そうですね、やっぱり気になります》

気になる?と言う事は光と馨のどちらかが告白した、というわけではなさそうだ。ならば光がハルヒちゃんを好きな事を自覚した、という線が有力。自覚した後になら馨は…となってしまったのだろうか。

《…自分、何もしてあげられなくて。状況もよく分からないし》

「いいのよ。ハルヒちゃんは何もしてあげなくても」

《え?》

「…光と馨は今戦ってると思うの。正直私が二人に何を言っても今は無駄。だからね、解決するまで待ちましょう。もしも相談されたらハルヒちゃんが思う事を、何の偽りも無いハルヒちゃんの言葉をかけてあげて」

でも、ハルヒちゃんに相談する事はないだろうな。竜胆はそう思った。

「貴女のそのままの言葉が二人には届くの」

《…それでいいんでしょうか?》

「いいのよ。貴女はそのままで居て。下手に心配でもしたらあの子達きっと気にしちゃうから」

いまいち納得出来ていない様なハルヒに竜胆は何度もそのままで居てと口にした。だってそのままの貴女が光と馨が恋した唯一の女の子なのだから。電話を切った後竜胆は再び電話をかけた。


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