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皆がそれぞれの思いを抱えたまま体育祭がスタートしたのでした。

《さあ、やってまいりました。素晴らしい秋晴れ!最高の体育祭日和です!それでは只今より桜蘭学院高等部第一回体育祭を開催致します!》

組別のジャージはホスト部員達を綺麗に半分こしたのです。第一競技は女子により“パン食し勝負”簡単に言えば“ききパン”なのだが。

「…ねぇ鏡夜。自分さ、パン食い競争って調べてみたんだけど、これ全く別物だよね」

そもそもグラウンドでやるものでもないだろう。分からないけれど美味しいと言う女性達の中白組の城之内が手を挙げている。開始3分で最初の正解として盛り上がる。先制点は白組と言うがいまいち盛り上がりに欠けるのはどうしてだろうか。

《なんと赤組のテーブルに異変です!赤組女子続々リタイア!白組圧勝!》

どうやら赤組のパンの中にマグロが入っていたらしい。これは明らかに環の仕業だろう。ハルヒの為に大トロを仕込んだとかその類だ。読めてしまう自分が悲しい。続いて男子100m走だが、パン食し騒ぎでモメている間に白組が圧勝。

「大将ー敵はいきなり自爆してまース」

「とってもおまぬけさんだよねえ〜」

「呆れて物も言えないわ」

競技順を決めたのは鏡夜でこれでも作戦の内なのだろう。竜胆は鏡夜の策略に驚く事なくぼんやりと空を見上げた。今日は空気が澄んでいてとても気持ち良い日だった。

「喜ぶのは早すぎますよ皆さん。勝負は集中力を欠いた方が負けです。この調子で着実に点を稼いでいきましょう」

鏡夜を大将にした白組はもはや黒い域を突破し、清清しいどす黒さを背負っているようだった。

《続いては男女混合競技の玉入れです。出場選手は東ゲートに集合して下さい》

「玉入れー!よっしゃー気合入れて行ってくるー!」

「いや。そんなに気合は入らないだろうな」

何の話だろうか。また何か企みが?そう思いながらも東ゲートへ移動した。そこにはハルヒと笠野田の姿があった。

「ハルヒちゃん、笠野田君。お久しぶり」

「あぁ、先輩もこの競技に?」

「そうそう。だって走りたくないしね。それよりもさ、ハルヒちゃん。ちょっといいかな?」

ハルヒに手招きをして誰にも話を聞かれない様に端へ寄った。そしてハルヒの耳元で話かける。

「光の調子どう?」

「え?何か分かるんですか?…この前光が珍しく最近馨の事が分からないって…」

それを聞いて竜胆は少しほっとしたのだ。これは良い事のはず。お互いがお互いの事しか分からない。そんな二人はもう終わらせるべきだ。

「…ハルヒちゃん。光と馨の事よろしくね」

「え?」

「まぁ、でも、二人も成長したみたいね」

どういう意味ですか?ハルヒがそう聞く前にアナウンスが流れて、竜胆と別れてポジションへとついた。


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