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「おはようございまーす。お邪魔しまーす。メイちゃん。約束してたサンプル持ってきたよ。後お土産にアイス買ってきたから早く食べ――」

藤岡家の扉を開けてもらって、一歩足を踏み出して言葉を吐けばメイが抱き着いていた。うん、何でだろうか。とりあえずアイスは冷凍庫に入れてもらっておいた方が良いかもしれないと抱きつかれたまま竜胆はハルヒにアイスの入った箱を渡した。

「で、何したの、メイちゃん」

「竜胆君てホントに優しい…!」

「どうも」

「だから宿題てつだ――」

「だめだから」

竜胆は靴を脱ぎ、丁寧に揃えた後茶の間へ勝手に入り、座って、メイの宿題と思われるノートを見れば小さく笑った。

「そんな量ないじゃない。簡単だし、本気でやれば三日で終わ――」

「それさっきハルヒから聞いた!」

どうも今日は言葉を遮られて遮る日だなぁと思った。

「アッタマきた!あんた達手伝いなさいよ!」

「いやいや。私手伝う理由ないわよ」

竜胆は暢気にハルヒが入れた麦茶を飲んだ。そもそも宿題というものは自分でやらなくちゃ意味ないだろうし、宿題を乗り切った所で明けのテストは大抵宿題の中から出るだろう。だからこそ手伝ってしまったら今後のメイが大変だろう。

「ハルヒ!環くんと抜け駆けしたお詫びに全部やって!」

「え?何々?ハルヒちゃん、環と抜け駆けしたの?お姉さん気になるー!」

「ちょ、…え、あれはオムライスで許すってメイちゃんが…」

「だから、何よ、抜け駆けってお姉ちゃんにも教えなさい!」

そっちが気になっているというのにハルヒとメイは揃って竜胆に“うるさい”と口にするのだ。

「うるさいのは二人じゃない!」

「つーか、そんなのあたしの優しさで100歩譲ってやっただけでしょー!宿題くらいやってくれてもいーじゃん!ケチ!ファッションショーのモデルもやってくんなかったくせに!」

「だから、お姉さんに詳しく――」

「「竜胆君(先輩)うるさいってば!」」

「それとこれとは関係ないでしょー!なんでケチとか言われなきゃなんないの!」

「あーあー!お姉さんに黙ってるつもりならそれでも良いけどね、まずうるさいってば!落ち着け!者ども落ち着――」

そして隣の部屋に居た蘭花は襖を勢いよくスパーンと開き、三人の頭を一発ずつ叩いた。

「疲れて寝てるお父さんを気遣えない子はおうちにいなくていい!宿題なら図書館でも行ってこい!」


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