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明日から夏休みとなった時の事。ホスト部は一学期最後のミーティングがあるのだが、ハルヒは一昨日、昨日、そして今日も姿を現さなかった。環はそれを自分のせいだと嘆く始末。

「何故だぁ!?俺のしつけが厳しすぎたのか!?繊細な思春期の乙女心にナイフで傷つけたか!?」

「ていうかハルヒって元々殿には距離おいてると思うけど」

「なんだとこの――!」

そんな喧騒の後ろでパソコンを弄る二人。

「鏡夜。新規お客様リストこっちにあった」

「そうか、データ送っておくれ」

はいはい。竜胆はそう言いながらキーボードを叩いた。

「ああ…皆知らなかったのか。ハルヒなら一昨日から隣町の公立女子高校に美鈴さんの娘さんを迎えに行ってるが?」

鏡夜はしらっと言う。その声にハルヒの事情を知らない部員は驚く。

「鏡夜…そして竜胆…!」

「ちょっと待って!どうして私も怒られるのよ!?私は知らなかったわ!」

いつもいつも事情を知っていると思われても困る。自分に入ってくる情報と言えば桜蘭の事でそれ以外、外で起こっている事の情報なんてなかなか知るものではない。ハルヒが部活に来なかった理由は外にあった為に知る由もない。

「美鈴さんには7年前に別れた奥さんとの間に高校1年の娘さんがいるらしくてね、娘さんは母親の再婚相手の元で育ったんだよ。だがこの夏今の父の海外出張が決まってね。家族でついていく予定の所を娘さんだけは日本で美鈴さんの元で過ごす事になったんだ」

「そこになんでハルちゃんが関わってくるの〜?」

「美鈴さんの世話になるというのは日本に残りたかった娘さんが母親を納得させる為に使った方便だったんですよ。本当は美鈴さんの顔を見たくないらしく美鈴さんの家に着いてすぐ逃げ出そうとしたんです。困った美鈴さんは藤岡家に泣きつき…」

藤岡家で美鈴の娘を面倒見る事になったらしい。

「俺には美鈴っちの悲しみが痛いほどわかる!同志として放ってはおけん!行くぞ!皆の衆!とり戻せ!美鈴っちと娘さんの親子愛!」

環は涙をこぼしながら目の前にいない美鈴に賛同する。同じ反抗期の娘を持った等、未だに父親は健在だった。先日のあれは一体何だったのだろうかと思いたくもなる。そして行き着く先は――…。

「ここか…ハルヒはまだ来てないかな」

「あっ!ハルちゃ…」

ハルヒはわざわざ美鈴の娘が通う公立高校の女子制服に着替えていたのだ。それはとても可愛らしく眼福物だった。

「あぁー…やっぱりハルヒちゃんで遊びたい。化粧してあげたいわ」

リムジンで到着した彼等は美鈴の娘の通う高校の前まで来ていたのだが、リムジンという事であまり隠れてはいない。そしてハルヒは一人の女子と話し始めた。

「いちいち迎えに来なくても逃げねーっつーの!」

まずそのけばさに驚いた。


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