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そしてホスト部は前回までの少しばかりシリアスを抜けて華麗に営業致しておりました。

「ようこそ、いらっしゃいませ!」

幕末スタイルにて御免。環は坂本竜馬で他の面々は新撰組と化したそこはまるで明治時代の喫茶仕様。環の口から出て来る土佐弁は意外にも人気らしいが、外見からすれば全く坂本竜馬ではないが、お嬢様達には関係ない。

「知らなかった…。幕末コスプレってウケがいいんだ?」

「日本文化って人気なんだねぇ」

和服の時も結構人気だった様な気がした。

「何言ってんの、基本中の基本デショ」

若くして国の為に生きる信念の為に散った気高さにひたすらに武士道を貫き、自らを律したストイックさ。そしてギムナジウム的な男子集団の禁断の香りを感じるのか…双子のそれには竜胆は首を傾げる。男子集団とだけで乙女の思考はそこまで辿り付けるものなのか。

「ともかく好きな子にはマニアさんが多いよねぇ〜」

「そう…だからめったな事は言わないのが身の為だな。ヘタにこちらで新撰組キャスティングするよりお客様のご自由な妄想にお任せするのが無難だろう」

ご自由に妄想されるハルヒは沖田総司で決定らしい。儚げな美少年。

「まぁ!牡丹の君は監察の山崎さんですわ!花魁の格好で潜入捜査は当たり前!町娘から花魁にまでなりきるという――…」

当然竜胆もそれに口出ししない。が、見られていても二人の頭の中では大した事は考えられてない。

「鏡夜はあれだ。山南さん。参謀」

まさにピッタリ。きっと女の子達もそれは決定事項だろう。双子の隊士は居たのかしら。知らない。ハニー先輩の様な小柄だけれど強いとか。沖田はハルヒちゃんだから、斉藤さんか永倉さん辺り?竜胆はぼんやりと考えながらお茶を飲んだ。そして今日のお茶請けは少し質素なお団子。またこれもこれで美味しい。そんな時突然崇が持っていたオプションの槍で、屏風を刺す。その音に驚き皆集まった。

「モリ先輩どったの急に!?」

「…不法侵入者だ」

その倒れた屏風の向こうには座り込む一人の男の姿。強面の彼は睨みつけてあ゛あ゛!?と声を出した。

「銛之塚…崇…!」

その彼は急に崇に近付いたかと思えば腕を捲り上げ出てきた文字(我命有限銛之塚崇尊敬)を見せながら言うのだ。

「…弟子に…して下さい…」


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