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2年の竜胆にとってクラスレクレーションという物は大して興味のそそられないものであった。しかも大抵は桜蘭幼等部から同じメンバーになる事から高等部に上がったから、等の新鮮味も無い。去年もやったから良いや。その程度。どうせお茶会とかそういった類になるだろうと竜胆はこっそりと教室を抜け出した。

「ハルヒちゃん、楽しそうだね」

いや、どこをどう見たら楽しそうに見えるんだろうか。さっきからクラス委員長である相賀君が、クラスレクレーションが肝試し大会に決まってこんなにもビクビクしているというのに。そもそも今の時間は普通に授業のはずが何をやっているんだろうか。

「…何してるんですか、先輩」

一応気をつかって竜胆とは呼ばなかった。

「暇だから来ちゃった」

完全に双子の血筋…!ハルヒは心の中で呟いた。

「何々?何の話?お兄ちゃんにも混ぜてよ」

「…柊先輩…。先輩は肝試しした事ありますよね?確か初等部の時…」

そんなイベントを企画する人が桜蘭に居たとは知らなかった。当然竜胆は知らない事。ハルヒはそれを聞いて少し焦ったが、竜胆は笑みを浮かべてみせる。

「忘れたけど、へぇ1−Aは肝試しやるんだ?それにびくつかせているわけね、君は」

曖昧に濁しうまい具合に自分の話題から逸らした。

「そうです…暗所恐怖症の上にホラー映画恐怖症、階段話恐怖症…いきなりバーンと驚かされるの恐怖症で」

「…難儀」

よくそれで肝試しが出来るはずだ。絶対に出来るはずがないだろう。

「所詮は学生のやる物だよ?むしろアトラクションとして考えてみたらどう?もうちょっとポジティブに考えようよ。ここはもしかしたら恐怖症を治すきっかけかもしれないんだから」

竜胆は笑みを浮かべながら相賀の頭をポンポンと軽く撫でた後立ち上がった。

「ま、これは光と馨に言うべきではないな。おもちゃにされちゃうから」

竜胆はそう言うと手をヒラヒラとさせながらどこかへ歩いて行ってしまった。やっぱり飄々した態度の竜胆はどこかつかみ所がない。

「…柊先輩って印象変わったな…」

「え?委員長は知ってるの?」

「そりゃ有名人だったし…。先輩だけどやっぱり有名だったよ。でも、いっつも一人で無愛想で他人に興味ないって印象だったな…」

それを聞いてハルヒは竜胆がいなくなった廊下を見ていた。


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