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「きゃああ!なんて可愛らしい!」

「光くんと馨くんの小さい頃のお写真ですのね!ほんとに女の子みたい!」

「まぁ、こちらには牡丹の君も…!三人で女の子の様だわ」

光と馨が持って来た写真に竜胆は溜め息を吐いた。そこに写るのは女装した5歳の光と馨と正装した竜胆の姿だったのだ。

「当時母親が男女モノ問わず子供服のデザインに凝っててさ」

「やたらモデルにさせられてたってワケ」

「「で、遊びに来てた竜胆ねぇもまた然り」」


竜胆と双子


そうか、そう言えば良かったのか。ではない。光と馨は常に女物を着せられていたわけではない。だからこそ一人女装となってしまうのだ。

「牡丹君はずっと女装している様だけど…」

そうだろう、絶対そうなってしまうと思ってた。竜胆は小さく笑みを浮かべて適当な言葉を吐いた。

「これは俺じゃなくて妹。でも、こっちは俺で。あ、こっちは妹ね」

ちなみに全部竜胆だった。が、そう言うわけにも行かずに適当に振り分けてみただけ。

「まぁ!男女の双子なのにそっくりなのね!」

「双子が二組なんて少し不思議」

そりゃ同じ人間だからね。そっくりではなく同じだ。光と馨のアルバムには牡丹の姿は少ないが、四人で撮った物まであった。確かに今になって見てみると不思議な光景かもしれない。

「へぇ。じゃあこっちのやんちゃな女の子の格好をしている方は牡丹さんですか?」

泥まみれになっても微笑んでいる女の子の格好をした牡丹と光馨の写真を指さしてハルヒは聞いてみた。牡丹とは絡んだことが少ないがこんな笑みを浮かべるようには見えなかったのだ。そう思いながら竜胆を見ると竜胆は目を逸らしてから指を頬にあてて、エヘッと微笑む。

――言葉通り随分とやんちゃだったんだ。

ハルヒは心の中で呟いた。そして一枚の写真を手にしたハルヒ。その写真は他の物と比べるとまるで違う。泣いている二人だったのだ。そして光と馨の感動秘話が始まる。それは世話係のお姉さんの話だった。彼女は常陸院家にある金庫を狙っていた。それに気付いた二人は一週間遊んでくれたら金庫の番号を教えてあげる。竜胆も居ない、退屈な時の暇潰しだった。彼女はそれを飲んで光と馨に色んな事を教えた。全身全霊で好意を示し、時には同情させる。そして本心は絶対に見せない。誰も信用しない。そして彼女は話を聞いて目を輝かせていた光と馨でさえも騙し、身を消したと言う。


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