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日曜の朝市は安くて色んな物をつい買いすぎてしまう。一応買う物リストは作って言っているけれど、安い物を見てからあ、そう言えばそろそろ無くなるな、とついつい買い物カゴに入れてしまう時とか。そして予定よりも少し重くなってしまったエコバッグを抱えて家の扉を開いた。

「ただいま〜」

「あら、ハルヒお帰り〜」

「お邪魔してるわよ〜」

中から聞こえてきたのは父の声と見知った声。少し驚いたが過剰に反応はせずにハルヒはエコバッグを床に置いてから靴を脱いだ。

「どうしているんですか、竜胆先輩」

父とお茶を飲みながらこちらにヒラヒラと手を振る竜胆の姿。その姿はウィッグまでしている完全女装verだった。手元には高級そうなお茶菓子。それは気の利く竜胆先輩のお土産に違いない。

「ハルヒちゃんの分のケーキは冷蔵庫に入ってまーす」

「あ、はい。わざわざありがとうございます。で、だからどうして家に居て父とお茶をしているんですか?」

「定期報告会なのです」


柊竜胆の観察日記C


ていきほうこくかい?ハルヒは一瞬自分の頭の中で漢字変換をするのを忘れていた。そしてようやく漢字変換出来てもやはり意味が分からない。買ってきたものを冷蔵庫に詰めながらハルヒは首を傾げた。

「蘭花さん、気になるでしょ。ハルヒちゃんが普段どういう生活をしているのか」

思わず振り返り見た竜胆の手には数枚の写真。自分が学校に居る時の写真(全て隠し撮り)。

「…どういう事ですか!」

「本当は環、そして鏡夜の役目なのだけれど予定が合わないから私に順番が回ってきたわけよ〜」

どういう順番だか詳しく教えて欲しい。ハルヒはテーブルに置いてあった資料に手を伸ばそうとしたがそれを竜胆は阻止した。

「あら、ありのままのハルヒちゃんを伝えなきゃならないのは先輩の義務よ?見せられないわよ〜」

オホホホホという言葉が似合いそうな竜胆の笑い方にハルヒは違和感を覚えた。そして竜胆は立ち上がる。

「それでは私はこれで失礼致します」

「え?もう帰られるんですか?せめて昼食だけでも」

お土産まで買ってきてもらったのに流石に悪いとハルヒは思った。そして竜胆はニコリと微笑みハルヒの頭を撫でる。

「…ありがとう、ハルヒちゃんは優しいわね」

「簡単なものしか作れませんが…チャーハンとか」

「チャーハン好きよ、嬉しい」


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