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学園祭も終わり大きなイベント事も無く、季節は春を迎えていました。あまりの平和ぶりに飽き出す二人の姿。

「「Cランチ」」

それは悪魔の双子が再来の危機でした。

「「やっぱAの仔羊とBのコールドスープとマリネとミルク…はやめてDランチとコーラと見せかけて実はCのオマールとDのサラダとBのスープ」」

それをハモって言うものだから思わず拍手が起こる程だった。そろそろ後ろの人が困るからやめてあげて。

「「マネすんっ――」」

「やめんか部の恥さらしどもが!」

学んだ環が二人の間に入り喧嘩を未遂に防いだは良いもののどうも雲行きが怪しい。

「ウソ喧嘩で俺達を罠にハメようたって…」

「「違うよ、あんまり暇だからハルヒの弁当争奪戦でも――…」」

双子が話し続け、環がそれを聞いているその後ろで竜胆は暢気にも少し悩んでからAランチ下さいと笑顔で言うのだ。その笑顔に周りがきゅんときている事も知らずに。竜胆はそう、光と馨の事だけではなく環の事も良く知る為に自分が関わる話と関わってはいけない話を心得ているのだ。そして今回は後者だ。

――ハルヒの弁当。およめさん

「いーよネ殿は。頭の中が年中大忙しでさ」

「その妄想電波を活用してなんか面白い事件でもつかまえてきてほしいもんだよネ」

「春だからねえ〜」

「いや待て。この流れは以前見た事があるぞ」

「奇遇ね、鏡夜。自分もあるよ」

ランチを手にしたままあまり近寄らない方が身の為だろうと竜胆は座れる場所を探していた。出来るだけ皆と離れている場所が良いかもしれないが。それもそれで少し寂しい気がするし。竜胆は辺りを見渡した。

「この調子なら待ち受けているのは確か…」

「「ムカつくからなんか投げてやれ」」

「ちょっと光馨!食べ物粗末にしなーい!」

パンを千切って投げる光と馨に注意すると、食べ物はダメ?ならフォーク。そしてフォークをブリッジ避けした環の後方には飛んできたフォークのせいで顔面にスープを浴びる教頭の姿。

「…君タチ、後ほど教頭室まで来て頂こうか」

二度目の行為に流石の教頭も怒りを隠せずに罰掃除だけではおさまらないらしい。Aクラスの生徒がなんという失態だ。

「嘆かわしい…!君達は一体自分の立場を何と心得るのかね!」

恥ずかしいまでに皆正座だった。Aクラスの生徒が。皆が憧れるホスト部の部員達が。本来ならば人の上に立つ様に教育真っ最中の彼等は床に正座させられていたのだ。

「君達は本来なら他生徒の手本となるべき立場のはずだろう。にも関わらず如何わしい部の設立に度重なる騒動!」

教頭はホスト部反対だなんて知らなかった。くどくどとお説教はまだ続いている。

「大体高等部生にもなって“食堂で騒いだ”などという理由で叱られる事に恥を感じんのかね。まったくもって嘆かわしい!」

教頭は桜蘭教員歴最長のいわゆる“長老”愛校心と身嗜みの良さは学院一。竜胆は開けていたブレザーのボタンを締めなおしたくらいだ。


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