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「「「あ…あぶりだし…!?」」」

その言葉に驚いたのは争奪戦直後の着替えタイムの時だった。聞きなれない単語に一同は驚いた。

「…とは何ぞ!?」

「「そっか、“インビジブルインク”!」」

「そうそれよ。懐かしいわ」

昔よく遊んでたわ、そんな印象だった。白紙の手紙が数枚届いていたのを考える。どうしてそれは白紙なのか、どうして柑橘系の匂いがするのか、それを考えるとすんなりと答えが出てきてしまったのだ。

「消えるインクかー書いた時に見えなくてあっためると浮かびあがんの」

「僕らも昔悪戯によく使…」

「イヤ、この場合みかんの汁」

その発想が貧しくてビックリだ。満山からの新聞の切り抜きと一緒に考えてしまった為に出てこなかった発想だった。そしてハルヒは校務員室から借りてきたライターで白紙の手紙を下からあぶった。出て来た文字に皆固まる。

「ああ。やはり理事長からか」

環へと父よりとご丁寧に書かれていた。今度一緒にごはんを食べましょう、返事はまだですか、と。それは何枚もあった。全て理事長から環へ宛てた私通だったのだ。

「あ…んの…っ…くそオヤジ…!」

白紙の手紙が理事長からの物だと分かると環は走り出して理事長室へと向かう、その後を部員達は遅れて環を追いかけた。

「苦労?犯人探しに争奪戦と確かに忙しかったが一体お前が何の役に立った?その無能ぶりを世間にひけらかしただけだろう。それで“苦労”だと?環、お前という奴は本当に…おバカさんだなぁ!」

それは子供みたいないたずらだった。環の父も環同様童心を忘れていない人物だ。すぐにこの父あっての環だと思った。が、この理事長はどうも他人の様な気がしなくもないのだ。

「ホスト部に謎の脅迫状が届いたらしいとの報告を受けてね、せっかくだから急遽便乗したんだよ。どうだね。より謎めいていて面白かっただろう?」

「より面白くする必要はありません!」

環の父ははっと何かに気付いた様に視線を移した。それに驚き環も移すもそこには何も無い。環の父はハルヒに近付いていただけだった。


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