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超特急でアカデミア橋に行けば、でかでかと書かれた“アカデミア橋建造中”の文字。ホスト部同様アメフト部もそれの状況に言葉も出せなかった。
「まだ工事中だねぇ〜ホントは公開日あさってだしねぇ」
「ハニー先輩のとこの企画でしょう!?把握しといてくださいよ!」
「だって僕らこの区域の担当じゃないもん〜〜僕はあっちでケーキ屋さんなの〜!」
それを知っていたはずの九瀬も落ち込んでいた。何故気付かない。竜胆は横目でそれを見ていてこの人ちょっと残念な所があるな、そう思った。意外に可愛らしいような気もしてきた。
「さて、皆の衆。次はどこに行こうか」
「え?あれ?ハルヒは?」
環が辺りを見回し、気がつくとハルヒはその場にいなくなっていた。それに動揺した環に声をかけたのは鏡夜だった。走りづらい服を脱ぎ捨てて言う。
「俺達も行くぞ!」
アメフト部も何かに気付き、走り出していたのだ。それに遅れる様に走り出した。そして鏡夜先導のもとで着いた場所は西校舎屋上の温水プールだった。そこには既にハルヒとアメフト部の姿。
「部長ありました!どけチビ!」
アメフト部に突き飛ばされたハルヒはプールの中へ落ちてしまう。環がハルヒの為にプールに飛び込もうとしたのを鏡夜が止めた。
「環!こっちは俺が引き受ける!おまえは王冠を手に入れろ!」
環と九瀬が競り合った。
「殿!」
「猛!」
そして王冠が掲げられる。環の手によって。
《須王です!見事王冠を勝ち取ったのは須王環!ホスト部優勝――!》
「鏡夜、眼鏡とタオル。はい、ハルヒちゃんも」
竜胆はハルヒの手を取りプールから上げさせて、鏡夜には投げた眼鏡とタオル。ハルヒにはタオルで彼女の頭を荒々しく拭いた。その後ろでは九瀬に駆け寄る満山香南の姿。
「なんで満山さん…」
「ああ…そりゃまあ彼女は九瀬先輩の婚約者だからな」
その衝撃的な事実にホスト部員達は固まった。
「言っておくがあの二人は昔から相思相愛だぞ?」
「「ハアアアア!?」」
「え…じゃあ脅迫状の犯人ってのも勘違い…」
「いいえ」
こちらの会話に気付いた満山は誠に申し訳ありませんでしたと恭しく頭を下げた。
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