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馨の言葉を聞けばこのデートを邪魔したいとは誰も思わなかった。暖かい目で見守ってやろう、そう思うが光の態度はやはりよろしくない。今にもハルヒに突っかかりそうなイライラを見せていた。

「この……ウラァ!!なんつーウキドキ感のかけらもないデートなんだ!かわれ光!俺がかわりにハルヒをエスコートして――…」

「それじゃ意味ないって殿!」

「そうよ、環!光の為なの!と言うかうっさいわ、バカ!」

「そう言う竜胆の声が一番大きいが?」

鏡夜もうっさいわ、バカ!竜胆は再び大きな声を出した。

「じゃあ鏡夜!ハルヒに絡むチンピラの役やってこい!そこを光に助けさせて…」

「そんな事をしたらただのホスト部の小芝居になるわ!」

「寝言は寝て言え。しかしまあ確かに二人をなごませるきっかけくらいはあっても…」

いないと思っていた光邦はなごませアイテムを使ってハルヒと光の前へ出ていた。なごませアイテムと言ってもアイスキャンディーのソリを引くおじさん風。その光景に驚くも崇の素早い行動でなんとか光とハルヒに気付かれる事はなかった。

「…そうね。こうなったら私が…。知らないフリして道でも聞いてこようか。それで可愛いカップルね、なんて」

「設定破壊だぞ。お前は地元民設定。第一ハルヒと光が道を知るとでも?俺のイメージとしてはゴスロリ少女が親しげに赤の他人と話す行動を取ると思えない」

「あら、それは偏見よ」

でも鏡夜の言う事も一理あるわ、と竜胆は踏み出そうとした足を止めた。そして気付かない内にハルヒは一人アイス屋へと向かっていた。

「コラ、ハルヒ」

「ここのアイス有名なんだって」

「…おまえはなんでそう食べ物につられるワケ」

「はい。ひとくちお先にどうぞ」

「マズかったら罰ゲームな」

そう言いながら光はハルヒの持つソフトクリームに口を近づけるも、そこにソフトクリーム屋に扮装した環の妨害で勝手にアイスを渡し間接キスを阻止。店の中ではそんな環の襟を掴みあげる馨。

「…せっかくイイ感じだったのに何邪魔してんのさ!」

「わーん!だってあんなカップル食いやなんだもん〜!」

「と、言うよりお店の方にご迷惑よ!申し訳無いです。ソフトクリーム5つとアイスコーヒー1つお願い致します」

その竜胆の行動も店側にしたら謎だった。せめて外から注文して下さい。

「あ、おいしい」

「確かに。…馨もこれればよかったのに」

そんな光の呟きに次騒ぐのは馨の番だった。ここに居ると出て行きそうになる馨を慌てて取り押さえた。皆で休憩を取りながらも光とハルヒの様子を遠くから見守る。話こそ聞こえないが二人は何やら笑いながらお土産物の店を見てまわっていた。


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