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「おはよー…ございま〜す」

竜胆は寝起きドッキリをしかけるかの様にこっそりとドアを開き、中の人物に声をかけた。

「…え…竜胆せんぱ…」

「お着替えしましょうかぁ!」

竜胆は目をキラキラさせながらハルヒの手を引いた。顔を洗わせて着替えさせれば竜胆は腕の見せ所というようにメイク道具を取り出した。

「かんぺきっ…!」

自分の腕に惚れ惚れしそうになるのをなんとか堪えて馨へ連絡。それで本日の任務は完了だった。良い事をした気分だと竜胆はハルヒを送り出した後、自分の化粧に取り掛かる。

「アレ?馨は?」

「あ――…風邪ひいたって」

「え?そうなの?どうしよ、帰る?」

光は馨の言葉と行動に未だ悩んでいた。光を起こした馨は風邪をひいてしまったと咳をしながらハルヒが楽しく過ごせるようにエスコートする事。ハルヒを怒らせないように!と言いつけて自分が約束したハルヒとのデートを光に押し付けたのだ。

「馨…で?何考えてるワケ?」

「何って尾行じゃん。見てわかんないの?バカじゃない」

そう言うホスト部面々はいつもより入念に変装していた。環と崇は作業員。鏡夜と光邦は観光客の親子の様に。馨は地元の少年風に。

「竜胆ねぇには地元民風にって言ったのに何そのゴスロリ」

「わざわざ観光に来てゴスロリする人ってあんまりいないじゃない」

黒いドレスに厚底のサンダル。極めつけは猫澤から貰った黒い日傘。化粧もばっちり濃くゴスロリ少女だ。

「…おまえは…!なんっでハルヒを光なんかとデートさせなきゃイカンのだと聞いているんだ!昨日の流れでこーいう展開になる理由がどこに!?許すまじ光!おまけに何アレ!何アレ!超カワイイ!」

「なんたって私の傑作だからね」

「ズルイズルイ!」

ワンピースと長いウィッグはツインテールに。毛先は撒いて化粧を施せばとても可愛い女の子。自分の腕で最高傑作を遠目で見て竜胆はにまにまと笑みを零した。そして光が振り返った瞬間皆は慌てて建物の陰へ隠れた。

「…あのねぇ殿…。僕はさ光に大事なものが増えるのっていい事だと思うんだよね」

馨は小さく溜め息を吐きながら自分が思った事、今日の事を説明する。


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