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竜胆が遅れて光邦の持つ別荘に行くと見えた光景に溜め息を吐いた。

「…一応聞いておくけれど、環は何を?」

「ストーカーだな」

「タマちゃんはストーカーなのォ!?」

携帯を片耳に当てて相手が出る事も無く一人でブツブツと呟いているが、それは光と馨がハルヒにまとわりつけないように10分おきに電話してやると言うのだ。が、聞こえてくるアナウンスはおかけになった電話は――…というもの。

「竜胆!お前の携帯を貸せ!お前からなら双子も出るかもしれん…!それにハルヒの携帯にかける事も…!」

「嫌よ。そんな事したら私の信用に関わるじゃないの」

竜胆は携帯を庇う様に身を隠した。詰め寄ってくる環の言葉等この際スルーだ。

「私もう寝ます。お部屋はー?」

「僕が案内したげるよォ〜」

ありがとうございます。軽く頭を下げた後竜胆は光邦と崇の後ろを歩いた。

「ヒカちゃんは大丈夫だった〜?」

「ハニー先輩、気付いてたんですか?」

「ちょっとね☆それにりんちゃんの行動見たら分かるよォ」

それもそうか。この二人にはまだ光と馨のお姉ちゃんだからと言葉を残していったのなら尚更か。光邦は本当に外見にそぐわぬ程察しが良いらしい。これは兄だからだろうか。竜胆は小さく微笑んだ。

「私に何かあったらあの子達をよろしくお願い致します」

「…りんちゃん、僕そういう言い方は好きじゃないなぁ。お姉ちゃんって言うのならりんちゃんが何とかしてあげないとっ」

その口調はまるで子供を叱る先生の様。

「…それもそうですね…無責任ですよね」

「それにっ!僕だってりんちゃんがいなくなっちゃったら寂しいよォ!悲しくなっちゃうからそんな事言わないッ!」

「はい、ハニー先輩」

そう微笑んで、崇が頭を撫でる暖かさを感じて竜胆は先輩達に再び微笑んだ。環が結んだ縁というものはとても不思議だった。環が中心で皆環と繋がっているだけだと思いきや、周りの自分達も一人一人としっかり繋がっていたのだ。それを再確認した。

「モリ先輩、おは――…うわぁ!?」

竜胆は朝の散歩をし終え、別荘に戻ってきた時崇が連れ出していたアントワネットに見つかった。そして目が合うとアントワネットが飛び込んできて、竜胆は押し倒される。そして昨日と同じようにアントワネットの挨拶攻撃が続いたのだ。

「ちょ、も、モリ、先輩っ!た、助け…!あははっ!も、もう無理っ!」

崇はアントワネットを抱え上げて、空いた手で竜胆に手を伸ばした。そこに居たのはボロボロの竜胆。崇はそれを見て小さく微笑んだ。竜胆は崇に抱えられたアントワネットの頭に手を伸ばした。

「もうっ、アントワネット?挨拶は結構だけれど、もう少しレディらしくした方が良いと思うわよ?」


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