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爽やか対決は佳境を迎えていた。ハルヒの“お友達”カテゴリーに入る事を目標とした環に鏡夜は最後のアドバイス。それは環にしか出来ない事だった。そしてペンションの中から外まで綺麗なピアノが響いてくる。その優しい音色は環のものだった。竜胆も店内で働いていたが思わず聞き入っていた。
「竜胆ねぇ。ゴミ袋どこ〜?」
「私が知ってると思うわけ?その辺じゃない?」
「適当だな、もう」
見知った場所ならまだしも今日来た場所で物の場所を教えろと言う方がおかしい。竜胆はそう思いながらもゴミ袋を探すのを手伝った。
「もう疲れちゃったよ」
「慣れないもんね。接客ならまだしも掃除なんて自分でしないし」
家に帰れば掃除してくれる人がいるし、学校にしてもまたその通りだ。いつか罰で掃除させられた事を思い出した。しかもそれは光と馨のせい。そんな事があったな、と今となっては懐かしい思い出だった。
「で、光と馨の爽やか作戦は一体何をするのかな?」
「うわ、流石竜胆ねぇ。ホント僕らが考える事先読みしすぎー!どーして分かんのサー!」
どうしてと言われても…。竜胆は首を傾げて微笑んだ。
「でも、やっぱり私もそろそろお役御免かな?」
「え、竜胆ねぇ好きな奴出来た?」
「え?どうしてそう――…」
光の思考が分からない。どうしてそうなるの?そう訊こうとした瞬間外から大きな音が響いた。ガラスが割れるような大きな音。それに一番に反応したのは光で真っ先に走って行った。竜胆も慌てて外へ向かった。そこに居たのは落ちて割れてしまった窓ガラスとハルヒを庇うように抱きしめた馨の姿。
「うっわー…ギリギリセーフ。ハルヒへーキ?」
「う、うん、馨は?怪我とか…」
「あ――…ちょっと切っただけ、他は別に……光?」
馨の頬には飛んできたガラスで切れてしまったのか血が出ていた。光は何も言わずに馨の手を取っていた。
「…驚かせんな」
「うん、ごめん。ダイジョーブ」
二人微笑み合っていて、それを見ていた美鈴とお客様方は思わず見とれてしまった。そしてそれに感動した美鈴は光と馨にさわやか度100点をプラスし、勝者は常陸院ブラザーズとなった。
「馨、ありがと。光もごめんね」
「「どういたしまして?」」
そうニヤリと微笑む二人にハルヒは騙された!?そう思ったが、それを見ている一つの視線。
「「さあね〜?どーでしょネ――?」」
光と馨はゲットしたペンションの中へと入って行った。時間も時間だし、残されたメンバーは光邦の別荘に移動しようとなったのだが竜胆が車に乗る気配はない。
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