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「全員泊めてあげたいけど、生憎客室の空きはひと部屋なの。どうせなら私が一番気に入った子を選ばせてもらうわ!当然決まるまで客扱いはしません!」

つまりこれは客室争奪さわやかアルバイト選手権in軽井沢なのヨ!そう美鈴に言われれば皆本気で爽やかを演じる事になる。要するにさわやかな人が好みで男手が足りないだけ。

「ねぇ、えっと竜胆ちゃんよね?」

「はい。そうです」

「この服着てみない!?折角可愛い女の子なんだから男の子みたいな格好してたら勿体無いわよ!」

美鈴の勢いに竜胆は後退りをするもそれでもふりふりのエプロンを持って近付いてくる美鈴。確かに可愛い女の子に可愛い服を着せるのは好き。自分で作ったエプロンなら尚更なのだろう。そこの趣味は同じだが、自分でこんなふりふりを着る趣味は生憎持ってはいなかった。

「えっとー…でも、自分はこの勝負には参加しませんよ…?」

ハルヒと同じ所に泊まれるのは楽しいかもしれないが、美鈴が欲しているのは男手だ。非力な自分が役立つとも思えないし、貫き通して迷惑をかけるのは勘弁。だからこそ参加はしなかった。

「いいのよっ!これを着てもらえれば!ね?お願い〜☆」

「は、はい」

竜胆はなくなくふりふりのエプロンを身に纏った。そうなると男装verじゃ不自然に思える。結局竜胆はお手洗いを借りて女装verになる事にしたのだ。

「いらっしゃいませ、ようこそペンション美鈴へ。本日はお泊りですか?それとも喫茶ですか?」

そしてエプロンを身に纏えば結局店を手伝う事になる。言うならば爽やかな女性verだった。普段部でやるようながっつりメイクではなくあくまでナチュラルに、爽やかに。髪は地毛のまま外に跳ねさせて可愛いピンをつければ地元でお手伝いをしている爽やかな女の子の完成だった。

「それではご案内致しますね」

にっこり笑顔を浮かべれば女性でも可愛いと思わず声を出してしまう程。それをある程度こなしてふと気付く。自分は無償で働く事になるのでは…?そう思っていたら美鈴は竜胆だけにお礼のクッキーを寄越した。それを冷たいアイスティーを持って竜胆は外に出た。大きく息を吸い込めば空気が美味しい。空を見上げた視線を下ろすとそこには鏡夜とハルヒの姿。


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