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「柊さん、お聞きしたい事があるのだけど、良いかしら?」

竜胆は珍しい人物に話しかけられ頷いた。用の無い時以外は話しかけくる事のない彼女。そう、彼女の名前は城之内綾女。2年A組の副委員長。成績は常に3番をキープする優等生で真面目な彼女は竜胆みたいなタイプを受け入れる事はないだろうと自ら思っていたのだが。それに驚いたのはホスト部に入った後の事だったのだ。今からする話は内密に、それをごり押しされた後竜胆は何度も頷いた。そして口を開いた彼女の言葉に竜胆は微笑を浮かべた。

「そうだね、新しいストパーは良い方だけど、縮毛はあまりかけたくない?だったら新しいアイロン使う?まだ発売していないマイナスイオンのアイロン結構良いよ。持ってくるし。それで満足行かないかったらカタログ持ってくる」

そう、綾女は竜胆…と言うよりも柊家のお得意様だったのだ。梅雨の時期になったこの頃になると綾女が気にする事。そう言えば去年のこの時期に全く同じ話をされていた事を思い出した。ありがとうと小さくお礼を言う彼女を見て微笑む。彼女は外見をとても気にする普通の女の子なのだ。そんな事があった数日後。ホスト部に再び問題が発生した。

「何ィ!?ハルヒが首席から落ちた!?」

それでも三番なのだが。桜蘭ホスト部には首席次席が揃っていた。三年首席は光邦、次席は崇。二年首席は鏡夜、次席は環。竜胆と光馨からすれば三番でも嫌味に成りかねない。と言っても彼らも三番、又は四番なのだが。

「成績いいからって“アホじゃない”っつー証明になるとも限らないしー?」

「「例えばあーゆー人とか」」

次席の環は必死に自分の私物ボックスを漁っていた。その行動はやはりアホの様に見えなくもない。

「俺のシャーペンがない…!」

どうやら必死にクマちゃん印のシャーペンを探していたらしい。自分はこんな人に負けたのか、そう思うと少しばかり悔しい。

「大体おまえが順位気にするなんて意外――」

「別にいーじゃん。退学になるわけでもなし…」

「退学になるぞ?」

鏡夜の言葉に皆の動きが止まった。そう桜蘭の特待生の条件は首席キープ。当然三番でも追試、そこで挽回出来なければ最悪退学。よくてD組行き。

「試験の方も敗因はわかっているつもりですので追試では気をつけます。それで…勝手なお願いで申し訳ないのですが追試まで三日間部を休ませて…」

「「「どの先生を御指名かな?」」」

ノリノリで眼鏡をかけ先生を気取る五人。当然そこには鏡夜と竜胆は参加していない。


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