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「環。あの子を変身させてあげようよ。あの子絶対可愛い」

「む。だがな、ああいう眼鏡をしている奴は眼鏡を取ると目が小さくなるパターンだぞ?」

どのパターンだよ。竜胆は小さく溜め息を吐いた。もうそろそろ強硬突破に出ても良いだろうか。あの子は絶対原石だというのでうずうずしているのに。かと言って私が近付き過ぎれば正体がバレかねない。近くで見られたら確実にバレる。

「――おお!お湯を注ぐだけで出来るという庶民のアレか!?」

環の声にホスト部員達は集まった。何でもハルヒにお使いを頼めば、買ってきたコーヒーがインスタントだったのだ。初めて見るそれに部員達は興味深々だ。

「これが噂の庶民の…」

「貧乏人は暇がないから豆も挽けないというのは本当だったんだなあ…」

「庶民の知恵だ」

「初めて見た…香りとかどうなの?挽いた豆が酸化しない工夫がどこにあるの?」

「僕一度飲んでみたかったんだー庶民コーヒー」

「買い直して来ます!!」

ハルヒの大きな声が響いたが皆は買い直す必要はないと言いながら庶民コーヒーを掲げた。誰が飲むか、早く飲みたい。結果ハルヒ早く淹れてくれ。その声にハルヒは呆れるばかりだ。そしてハルヒが実演するも本当にお湯を入れて注ぐだけだった。

「うん、何だろう。これはこれとして良いのかもしれないけれど、コーヒーと言えるのかわからない味」

竜胆の感想を他所に環は逆にそれが癖になると熱く語っていた。

「皆の衆!本日は庶民ラーメンに挑戦する!」

環の手にはカップラーメン。どうやら最近環は庶民の食べ物にはまっているらしく、第三音楽室ではよく見るようになっていた。

「各自別々の種類を作ってみる事!」

当然ホスト部員達はそれを見た事がない。興味はある。先生=ハルヒに教えを貰いながら実戦していく。パスタにやきそば、うどんにそば。それがたかだか4分程度で出来てしまうのだ、感動ものだろう。

「カヤクがフタに…」

崇の呟きにハルヒは庶民の知恵を見せる。湯切りした時にカヤクがフタについてしまうのはどうすれば良いか。それは簡単、最初に麺の下にカヤクをしけばいいんですよ。

「すげえワザだ!」

確かにそれは知恵だろうが、何もそこまで大声を出さなくても。環の声に竜胆は小さく笑った。


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