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「だーるーまーさーんーがーこーろーんーだっ」
歩いて歩いて歩いて、ぴたりと動きを止める。鬼がこちらを見ている間に動いたら負け。
「光!馨!今ちょっと動いただろう!」
「「へーん動いてまっせーん!」」
「鏡夜!おまえは一歩くらい動け!」
「このままだと環はずっと鬼のままー!」
環以外のメンバーは止まったまま声だけで笑ってみせた。そう、今何故だるまさんが転んだという遊びをしているのかというと新聞部の取材の為だった。接客中はお客様に迷惑がかかるから却下。だがホスト部全員撮りたい。ならば皆で遊んでいる風景を、そういう案だったのだ。だるまさんが転んだにも理由がある。これは親しみやすさを売りにしているらしい。お金をかけずに遊ぶ庶民の姿を見せそれを訴えるというのが環の目論見。
「鏡夜!今ちょっと動いただろう!こっちに来て小指をつなげ!」
「視力が落ちたんじゃないか?」
「「おー夫婦げんかでスかー」」
笑いながらその光景を見ている竜胆の視界にハルヒが映った。ハルヒは新聞部部長に話しかけられている。
「光馨。あれ切ってきて」
首を動かして方向を伝えると光と馨はすぐに声をあげる。
「「らじゃー」」
「あ、竜胆動いた!鏡夜と小指を繋げ!」
はいはい、そう言いながら竜胆は環と鏡夜の場所へと歩いた。そして小指を繋いで、次のだるまさん転んだの声。
「「切った!」」
光と馨が切ったのは新聞部部長とハルヒの間。それでは捕まっている二人は逃げる事が出来ない。
「こらっ!そこは切るとこじゃないぞ!」
「ちょっと自分が逃げらんないー!帰ってこーい!光ー馨ー!」
だるまさんが転んだの後は色オニだ。金色と言った鬼の金髪の環に皆が集まった。そしてすぐに色オニは強制終了で今度はかくれんぼ。敗者には光邦の新技の実験台だと聞いて皆は急いで隠れに行った。少し隠れた後自然と出てくるメンバー。そこに環とハルヒの姿はない。そして消えた新聞部。
「ねぇ、だいぶ付き合ってあげたし、環に断る理由も出来たよ」
「だな、行こうか」
「「僕等待ち伏せしちゃおー!」」
環とハルヒを残して皆歩き出した。
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