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光邦のお菓子断ち二日目。頬の腫れは引き、もう治ったと崇に直接交渉するもアイスを口に入れられ痛み復活で断念。崇が無理ならば女の子達。

「僕はね〜お茶には甘〜いお菓子が合うと思うなッ☆」

キラキラした笑顔の裏では“食べないの?”と訴えているも、女の子達はそれに耐え切れなくなり逃走。作戦失敗。

「神様に嫌われるような事したのかなあ…?」

泣き落とし作戦。だが相手をハルヒにしてしまうミスで甘い物の代わりに酢コンブを渡されて失敗。そしてお菓子断ち三日目になると光邦の様子はひどいものになっていた。イライラしたように辺りを行ったり来たり。その様子は誰も近付けさせなかった。何か無いかとお菓子棚に手を伸ばすも、中に居たのは環のくまちゃん。それをただ床に叩き付けた。

「ああっ!俺のくまちゃんが!」

目の据わったくまちゃんは無表情のままは床に打ち付けられそれが妙に哀愁漂い切なげに見えた。その瞬間光邦は息絶えたように倒れ込んだ。心配した環が近付くも光邦は凶暴化し、環の手に噛み付いた。

「光邦。人や物にあたるな。見苦しい」

「崇の…崇のばかあっ!」

そう言うと光邦は自分よりも大きな崇を軽々と投げ飛ばした。それは見事な一本背負いだった。

「ちょっとくらいいいじゃん!けちんぼ!石頭!はげ!崇なんか…っ…崇なんか大っ嫌い!」

光邦は涙を浮かべながらそう言うと走り去ってしまった。環はそんな光邦を慌てて追いかけた。そして残されるのは大ダメージを受けふらふらとする崇の姿。

「モリ先輩大ダメージじゃん。けど仕方ないっつーか…」

「んなヘコむなら最初からあんな嫌われるよーな行動ばっかとらなきゃいーのに」

確かにここ最近の崇の光邦へ向けた態度は冷たいものだった。甘やかす事なく徹底してのお菓子断ち。そんな事をすれば光邦が怒るのも目に見えていた。そうまでした崇の行動の真相は?

「…モリ先輩もしかしてわざとハニー先輩に嫌われようとしてたんじゃないですか?」

どうしてそうなるのか、光と馨は首を傾げた。

「例えば…モリ先輩はハニー先輩の虫歯を自分のせいとか思ってて…」

「俺のせいだ…」

崇は小さく呟いた。

「光邦の虫歯は俺の不注意だ。光邦に投げ飛ばされるくらいじゃ俺の気が済まない…昼寝の前に歯磨きをさせるのを二度程忘れた…」

えっ!?そんなのモリ先輩の責任じゃ…そんな言葉は崇には届かない。総入れ歯になったりしたら…崇が意外とネガティブだったという事を知る。


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