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竜胆が誤魔化すように本を手に取ろうとした時ハルヒが全員分のお茶を淹れてきた。

「ハルちゃんからケーキ選んでよいよ〜」

「いいんですか?」

「どーせ僕らそんなの食べ慣れて…」

次の瞬間しーっと指を立てる。勝負のはずがいつのまにか協定を結んでいたらしい。

「おすすめはイチゴのやつよ」

「じゃあ、それを…」

ケーキを皿に取って渡し、皆の分を配っているとどうも三人からどれが良いのか返事が無い。

「ちょっと。光馨環。勝負も良いけれど早く選んでくれない?私が選べないのだけど」

行動全てがミスに繋がる彼等はどうやら簡単に動けないらしい。そんな三人を他所にハルヒは目の前のケーキに目を輝かせる。

「…好きなのか?苺…」

崇がハルヒのケーキ皿の上に苺を乗せてやるとハルヒはハイと微笑んだ。それに対して泣き喚く光馨環の三人。

「ハニー先輩。三人の分食べちゃって下さい。私が食べたくなっちゃう」

ケーキから視線を逸らすと真横の鏡夜と目が合った。竜胆はふと思い出しすぐに目を逸らした。

「ケーキ食べたら小腹がすいてきたねえ〜」

「そういやとっくに昼過ぎてんじゃん」

「「「おひるまだ?」」」

勝負以前の前に言葉の区別がついていない彼等に竜胆は呆れるように溜め息を吐いた。もう失礼にも程があると言うか遠慮を知らない。

「とめどなく自由に生きるのやめてくれませんかね」

「…まあ急に訪ねたのはこちらだしな。元出は出そう。おまえの好きな寿司でもとったらどうだ?」

「いいですよ。鏡夜先輩におごってもらうなんて…あとがこわいから」

「オークションでさばいたおまえの下敷き代だが」

鏡夜の手にはカード。

「元出は自分では…」

しかもまた勝手に。ハルヒは深い溜め息を吐いた。

「じゃあ近くでいいお寿司屋知ってますから、ちょっと頼んでみますよ。あそこなら高級だし皆さんのお口にも…」

その瞬間環は何か思いついたように慌てて紙に文字を書き、それをこっそりハルヒに渡したが、ハルヒはそれをすぐにぐしゃぐしゃにしてからゴミ箱へ捨てた。光と馨がそれを拾い上げるとそこにはパックのお寿司は“特上”とかでも高級とはいわないよ!要注意!と書いてあったのだ。それを見た光馨、竜胆は体を震わせる程笑った。

「知ってます!」

「お父さんは!お父さんはおまえに恥をかかせまいと〜!」


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