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「ハルヒ…その服…自前?」
やはり男達はハルヒの格好の方が気になるのだろう。
「うん、父に荷物詰め替えられたらしくて…こういうのばっかり着せたがるんだよねえ」
「ハルちゃんかわい〜☆」
「怪我はもう平気なのか?」
「にしても裸足はないだろ」
「髪もちょっといじった方がいいな」
「それだったらお化粧しちゃう?」
皆がハルヒを中心に集まる中環は後ろからこちらの様子を伺っていた。そして何故か垂らした鼻血でまたハルヒとの距離は遠ざかった。光邦が鼻血を止めてあげようと首の後ろを叩く。
「あれ〜?止まんないねぇ」
「悪化してます」
「それは間違った応急処置の代表例ですよ。ていうか手刀です」
光邦の見かけによらない怪力は環を倒すには充分だったようだ。ハルヒも来た事によって夕食をとる事になったのだが、そこに猫澤の姿はない。猫澤は急にライトを浴びた事のショックで先に休む事になったのだ。
「はーい!ハルちゃん大トロ〜☆」
ハルヒの為に特注した大トロを前に彼女は目を輝かせる。
「いただきま…」
その瞬間環がそれを全部食べてしまった。
「ハルちゃん、カニもあるから」
無言でハルヒはカニに手を伸ばした。素手でカニの足をもぎ取る姿はとても恐ろしく思えた。
「先輩カニ…」
「え…」
「殻ですけど」
ハルヒのささやかなる復讐の始まりでもあった。環がカニに手を伸ばそうとするがそれは全てハルヒによって阻止される。
「…意外に子供な事すんな、ハルヒも」
「庶民の食べ物の恨みは恐ろしいと聞くからな」
「ガ――!なんだおまえは――!どこぞの双子か!」
「口きかないんじゃなかったんですか――?」
「確実に影響受けてる…」
竜胆は小さな溜め息を吐いた。環はハルヒの行動に怒り、先に寝ると部屋を飛び出そうとしたが、暗い廊下に鏡夜の名前を呼んだ。そして鏡夜はため息を吐きながら着いて行った。
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