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先程までの綺麗な夕日は嘘みたいなどんよりした天気になっていた。これでは予定していた花火をする事も出来ない。

「2・3と。“日傘が大破。外出出来ずに一回休み”。おぉ、ピッタリだ」

「4・5・6…“5年後交通事故に遭い左手首骨折”なんだそりゃ」

「“12年後会社倒産。デパートの清掃員に”ありえんな」

「ぼく“10年後に背が2センチ縮む〜☆”」

「次誰?殿ー?やんないのー?代わりにやっちゃうよー」

環の駒は進んである所で止まり光と馨はそれを読み上げた。

「「“現在友達に嫌われて超ブルー”」」

ピッタリじゃない。環は膝を抱えいつものように壁に向かっていたのだ。

「殿。ハルヒと波打ち際を散歩するんじゃなかったの?」

「白いワンピース持って来たんでしょ?ホラ、早く行けば」

そんなに追い討ちをかけてあげるな、と竜胆は光と馨の肩を掴んだ。

「須王君は白いワンピースがお好みですか…」

「はわわわわああああ!」

突然現れた屋敷の主に環は悲鳴をあげた。そう、ホスト部員が泊まる別荘は猫澤家所有の物だったのだ。環はそれだけで恐怖だと言うのに猫澤が用意してくれた人生ゲームは妙にリアルな予言でそれが更に恐怖を煽っていた。

「鏡夜!何なんだこのホーンテッド猫屋敷は!」

鏡夜の心情としてはタダで別荘へ招待して頂き、何の不便も無い、問題無い場所だったのだ。ただロウソクの明かりでは読書に不向きだろう、それくらい。

「大体環は猫澤先輩を恐怖視し過ぎ。猫澤先輩いい人だよ。さっき日傘もくれた」

そう言って竜胆が見せたのは真っ黒だがレースの付いた品の良い日傘で、竜胆もそれを気に入り喜んでいた。

「竜胆!お前は騙されている…!俺は先程から誰かに見られている気がしてならないし、大体こんな電気も通わぬ暗い部屋で“ハルヒと一緒に大貧民”大会はどうなる!?」

「どうせ喧嘩中だろう?心配せずともトランプ大会など中止では?」

「…鏡夜。鏡夜まで環に追い討ちをかけてあげないで」

寄って集って環をいじめて楽しんでいるんだから、この人達は。竜胆は小さく溜め息を吐いた。その瞬間部屋中の電気がパッと点いた。驚いた猫澤は逃げ出して行った。猫澤と入れ替わるように入ってきたのはワンピースを着たハルヒだった。その額と頬には絆創膏。

「ブレーカー落ちてましたけど…地下室にあったので上げときました」

なんと言うかハルヒは強者だと思った。


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