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ハルヒの怖いものを探せゲームは難攻していた。怖い話、高所、暗所、先端、閉所。ハルヒにとってそれら全ては怖いものではない。諦めムードの中竜胆は日傘を持ってハルヒのもとへと近寄った。

「ハールヒちゃん。ハルヒちゃんって苦手なものないの?」

こうなったらストレートに訊いた方が教えてくれるような気がすると思ったのがハルヒは首を傾げる。

「まぁ、無いって言ったら嘘になりますけど…」

「だよねぇ。誰しも一つくらい苦手なものがあるものだよね。自分にもある」

「竜胆先輩も?」

「ハルヒちゃんは自分を何だと思って――…」

その時どこからか小さな声がした。それは猫ヶ岩の方だった。ハルヒと竜胆は立ち上がりその方向を見ると女の子達が見知らぬ男達に絡まれているではないか。今すぐにでも駆け出そうとするハルヒの腕を竜胆は掴んだ。

「待って。誰が呼ぶか――」

そんな暇ありますか!そう声を張りながらハルヒは走って行った。

「あぁ、もう!ごめん、誰でもいいから部員呼んできて。大急ぎで!」

近くに居た女の子に声をかけると竜胆もハルヒを追って走り出した。女の子に絡んでいた三人の男はハルヒに絡んでいる。

「てめっ!」

「君達は早く安全な所に」

絡まれていた女の子達を側から離して竜胆は日傘を閉じてそれを竹刀の様に握った。

「ちょっと。君達その手を放してくれる?」

近くに居た男に日傘で腕を一発叩いた後、その男は腕を押さえながら竜胆を見た。

「いってぇ…どうしてくれんの?金払ってくれるわけ?」

「はぁ?あんたに払う金があるなら海に捨てるわ」

てめっ!その言葉を聞いて竜胆は日傘を振るもそれは簡単に受け止められ、奪われてしまった。そしてすぐに肩を掴まれ岩に押し付けられる。片手はがっちりと掴まれて動かす事は出来ない。

「っ!」

「なんじゃ、この細っこい腕は。女みてーなくせしてかっこつけてんじゃねーよ」

視界の端ではハルヒがどんどん崖に押しやれている姿。早く来なさいよ。竜胆は心の中で呟いた後目の前の男を睨みつけた。早くしないとハルヒは絶対にあの崖から落ちてしまう。

「あれ?お前女?よく見ると超美人じゃん」

男の手が竜胆の顎に動いた時竜胆は大きく吸い込んだ。

「早く来いよー!バカ、きょぉーやぁっ!」

俺がいるから大丈夫、みたいな事言っておいて肝心な時にいなきゃ意味ないじゃないの。竜胆は大声をあげた。


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