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学期末試験も終えた。そもそもホスト部に成績を気にしなければならない部員はいなかった。必ず上位に名を馳せる者達の集まりだったのだ。そしてそんな彼らが集まれば夏休みはバカンス。

「海?」

「「イエース海☆」」

学期末試験が終わった後はどこでもバカンスはどこへ?そんな話題で持ちきりだった。

「カリブがいい?フィジーがいい?」

「そんなお金ないよ」

「貸すぞ?無期限有利子で」

鏡夜のそんな言葉に乗る程ハルヒはバカではない。

「ねぇ、鏡夜。ちょっとドイツ語テストで気になった箇所が」

問題用紙を出しているのはハルヒと竜胆だけ。参考書を見ながら答え合わせをしている真面目な彼女達はホスト部でも珍しい女子部員。それは秘密事項。部の最大機密だった。

「ちなみに水着はこれ!」

光が出したのは二人の母がデザインした新作水着。セパレートタイプでフリルつきの可愛らしいビキニだ。竜胆は鏡夜から説明を受けながらもそちらに目をやった。

「僕はこーゆーのがすき〜☆」

光邦が想像するのはワンピースタイプ。

「見てよ、このベスト着ただけでごまかせてしまうまな板具合!」

「ワンピース型じゃお粗末極まりない体型丸分かりで涙を誘うね」

それを考慮した上で選んだ水着だと光と馨は豪語した。

「私はまな板じゃないわよ、鏡夜」

その言葉に鏡夜はがくっと紙を通り越したテーブルに跡をつける勢いでペンを滑らせた。

「ねぇ、照れた?今照れた?想像した?」

「……お前な…。呆れるを通り越した」

鏡夜の深い溜め息に竜胆はつまらなそうに肩をすくめた。

「ちなみに竜胆ねぇのも用意したよ!」

あら?本当?と竜胆は立ち上がり光と馨の側に寄った。

「ハルヒと違ってベストでも誤魔化しきれず、スポブラなんか最早意味も無く」

「なくなくサラシを巻き、しかも用心で中にTシャツまで着込まなければならない」

何かとても褒められている気はするけれど、そこまで知られているのは一体どうしてだろうか?竜胆は口元を引き攣らせながら首を傾げた。

「「スタイル抜群の竜胆ねぇに――…」」

「娘達にセクハラしまくっとるか貴様らは――!おかーさん!おかーさん!光と馨が娘達にいやらしい事を言いましたァ!」

「17にして四人もの子持ち設定か俺は。俺の青春はどうなる」

「「行かないの?海」」

「誰が行かんと言った」

あっさりと決めるじゃないか。散々水着はだめだと言っていたくせに。何だかんだ言って環もハルヒちゃんの水着姿を見たいのね、と竜胆は納得した。

「「じゃ、いーじゃん」」

「異論はないな」

「海ね、わかったわ」

「うさちゃんも一緒〜?」

崇は頷いて、ハルヒは未だ頷いていないのにも関わらず計画は進行して行く。

「それではいざ!海に行こう!」


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