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「と、とりあえずハニー先輩を追いかける!」
と、足を踏み出せばすぐ下には数頭のワニ。
「わー!なんでワニ――!?」
ワニの存在に慌てて逃げる面々を襲うのはピラニアがいる池。涙ながら逃げ回る途中で崇と合流するも一気に疲れたのは言うまでもない。
「…なるほど。ワニの放し飼いは極めて危険…と。ピラニア池も要考慮。流水プールのレバーの場所も問題アリか。礼を言おう。いいデータがとれたよ」
「データの前にアホよ!そもそもそれで上手く行くと思っていた方がアホだわ!」
竜胆の言う通りだ。鏡夜に反抗出来る大事な存在は今竜胆しかいない。皆は竜胆に賛同した。
「アトラクションは試作段階のものが多くてね」
単純に言えば皆は実験台に使われたと言う事だった。が、誰も怒れない。
「…大体どこなんだ、ここは…」
辺りは本当にジャングル。どこかでは奇妙な声の鳥が鳴き、威嚇をするような獣の鳴き声も聞こえる。
「南ゲートの亜熱帯ゾーンだろうな。そうかそれならそろそろ…」
そういうと鏡夜は竜胆の手首を掴みスタスタと歩き出す。怒られる?もしかして私鏡夜に連行される?そう思っていた竜胆とは別に屋根に下に入った瞬間バケツをひっくりがえしたような雨が皆を襲った。スコール体験サービスらしい。当然鏡夜と竜胆は濡れることはない。
「もう。皆にも教えてあげれば良いのに」
「生憎俺の腕は二本しかないんでね。それにお前の場合、風邪でもひいたら厄介だろう?」
「いえ。今は特に気にしなくて――…鏡夜って結構私の事好きよね」
その答えを聞く前に光馨、そして環は何で竜胆だけだと怒る。竜胆は“私は鏡夜の秘密を握っているのよ”そう言えば皆が興味深そうに竜胆に詰め寄った。が、竜胆は笑みを浮かべるだけで鏡夜の秘密は誰も聞く事が出来なかった。
終
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